第3話 初デートその1 「市内行こう」=「デートしよう」

確か12月に入るか入らないかのころ。


「市内行こうよ!」


(解説:僕たちの住んでいるところでは、「市内行こう」=「デートしよう」である。)


「・・・いいけど、俺全然詳しくないぞ?」


「大丈~夫!いつ空いてる?」


「いや、特に何にもないから、いつでも大丈夫」


「じゃあ今度の日曜日行こう!」


・・・そーいえば、付き合い始めてから2か月くらいたつけど、まだどこも行ってないか。


でもなあ。


神奈川からこっちに引っ越してきてから、まだ3年目。

母方の祖父母の家があるから、市内のこと何にも知らないってわけじゃないけど、

女の子が好きそうな場所とか知らんよ?

前行ったところなんか、「むすびのむさし」だぞ?


「あ。私プラネタリウム見たいなあ。」


よっしゃ! それはわかる!


「あと、今度友達と連弾するからスコアも見ときたい」


それは本屋行くか楽器店行けばどーにかなるハズ!


「クリスマス近いから、楽しみだね!」


・・・お金あったかなあ・・・?



待ち合わせは、「そごうの大時計の前」。バスセンターがあるから、降りたらすぐでわかりやすい。

僕とカナの家からは、バスのルートが重ならないから、ここがちょうどいい。

てか、他のところとか言われたら自信ないし。


当日。少し早めに来て、カナを待つ。


「お待たせ!」

後ろから声をかけられたので振り返ると、いつもと違うピンクのチェックがかわいいリボンでポニーテールをまとめたカナが、いたずらっぽく笑ってた。


「びっくりした?」


「ちょっとね!」


「やったww じゃあ行こう?」


カナが僕の左となりに来て、ひじをつかむ。

手をつなぐのは恥ずかしいので、カナが僕の左ひじを持つのが二人で歩く時のいつものポジション。


まずは、プラネタリウムに行くことになった。



・・・そこ終わったら、僕はもうリードできない。かも。















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