幼馴染の攻略法
紫雨
1.出会い
私達の出会いは偶然とも、必然とも思えるものだった。あの日、幼稚園に行きたくなくて泣きながら登園した私に「どうして泣いてるの?」そう聞いてくれたのは彼だけだった。
その彼の名前は橋本伊織。ずっと泣いてばかりで喋りもしない私の手を引いて、
「一緒に遊ぼう」そう言ってくれたんだ。
その一件があってから、私は常に伊織と一緒にいた。今思えばきっと“初恋”というやつだろう。伊織が私の手を引いてくれている限り、私はどこにでも行ける気がしていた。
それから小学校に入学して、私達の関係は少しだけ変わった。友達を作るのが苦手だった私は、伊織が同じクラスにいてくれるだけで最初は十分だった。小学生になったら多少の距離が空いてしまうのは理解していたが、その距離は想像以上だった。
伊織は常に仲のいい男の子達といるようになったし、私も新しく出来た友達と行動する事が増えて幼稚園生の頃のように毎日話したりすることも無くなってしまった。
ただ昔のように話しかければいいだけなのに、周りの男の子に「伊織のこと好きなんだろ」なんてからかわれたら恥ずかしくて次の日から学校へいけなくなるような気がしてとても出来なかった。
その時の私達がスマートフォンなんて持っているわけが無くて、ただたまに挨拶を交わすだけの仲になってしまった。
2年生になるとクラスが離れて、1年生の頃よりも距離が空いてしまった。
前のように話したい、そう願っている中で私の1回目の転校が決まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます