第3話
とりあえずその時点で彼女と話す事がなくなってしまったので、というかむしろ一方的に気まずくなってしまったため、俺ひとまずその場で鈴奈と別れて自分の家に戻る事にした。
なんか具体的な事は何もしてないはずなのにどっと疲れているような気がする。
とはいえ、俺が家を出て結果的に恋愛の神様を名乗るあの生命体と遭遇する事となった原因はやる事やらなくてはならない事から逃げたからであり、だからここから俺はそれを解決しなくてはならないのだ。
うん、やる気は出ないし気持ちも乗らない。
しかしやらなければ普通に問題だし、俺が問題にしなくても他人が問題にする。
ぶっちゃけ怒られなくても成績に響く。
別に一つ課題を落としたところで問題になるほど悪い成績ではないのだが、そういうのが積もり積もって落第につながるのだ、だから些事とはせずに頑張らねば。
あーでも、起きた事が起きた事だけに、精神的に疲れてる……
「どうだったのじゃ?」
何故にここにいる?
「何故にここにいる?」
「心の声と実際に口にした言葉が一致するとは凄いのう」
「いや、なんでお前が俺の家にいる。不法侵入か?」
「普通に神様ぱぅあーで何とかした」
マジか、いやまあ人の心のうちを読めるようにできるのだ、それくらいはお茶の子さいさいなのかもしれない。
「まあ、力がまだまだ完全に復活してはいないから、お主の座標を参考にしてワープしてきた訳だがのう」
「ほーん、どうして俺の座標がわかるんだ?」
「そりゃあお主、マーキングしたからじゃが?」
「犬かよ」
「狐じゃが?」
「イヌ科だろうが」
「少なくとも狸ではない」
そういう問題じゃねーよ。
「まあ、話を戻そう」
「別にまだ何も話してなかったと思うけど」
「どうだった? お主の幼馴染は果たしてお主の事をどう思っていたのかの?」
「……嫌ってはいなかったよ、少なくとも。それは良かったと思う」
「ほうほうなるほどのー、ってなんか含みのある言い方じゃの」
「ありたいに言ってしまえば、ヤンデレだった」
「やん……でれ?」
きょとんと首を傾げられた。
おいマジかよ。
「そこらへん知らねーのかよ」
「いや、そもそもやんでれとは何なのじゃ?」
そこからかよ。
俺は「はー」とため息を吐き、どこから話せばいいかと思いながら肩を落とすのだった。
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