第13話 生徒に体罰。鬼畜体育教師を...ヤンキーが殺す
玄田の方を見ると、彼は前方に右拳を突き出し、正拳突きの形で佇んでいた。それに加えて、彼の腕には
そして、玄田は天上さんに向かって、口を開いた。
「確かお前!
天上といったか?
俺は空手の黒帯だ!
それに加え、最近手に入れたばかりのこの力がある。
生徒が教師に歯向かうとどうなるか、たっぷりその身に教えこんでやるよ」
玄田はそう言い放つと、彼の体全体に螺旋のような竜巻が広がっていった。
そして、掻き消える玄田の体。
次の瞬間、一瞬で距離を詰めた玄田が天上さん目掛けて容赦のない猛連打を放ったのだ。
断続的に鳴り響く衝撃音。
彼女は腕を構えてガードをしていた。そして、数センチずつ体が後方に下がっていく。
最後に玄田が、天上さんに一際強力なパンチを撃ち込む。すると、玄田の腕から螺旋状の竜巻が離れ、天上さんを後方まで押し流した。
5メートルくらいまで押し流され、ようやく天上さんの体は停止した。
どうやら、あんなに殴られたにも関わらず、彼女は傷一つないどころか、ケロっとしていた。
「効かねえなあ」
「何ッ!?」
それを見た玄田は驚いたような表情で目を見開いていた。
そして、天上さんは玄田を睨みつけながら、こう言い放った。
「よくも、俺のダチに手ー出そうとしてくれたな!
生徒に暴力を振るおうとするやつなんざ、教師だとは認めねえ!
先に手ー出したのはてめえだ!!
後で文句言うんじゃねえぜ!」
その台詞を言い放っている途中、天上さんの体は静電気のようなものを帯び、数本の髪が跳ね上がっていった。
「こ、このクソガキ、
教師に向かってなんという口の聞き方だ!」
玄田は怒りの籠った口調で、そう呟くと全身に風を纏う。
すると、天上さんの足がグラウンドの床にめり込んだ。そして、天上さんの足が一瞬だけ光り輝き、彼女の体は掻き消える。
一瞬で玄田との距離を詰めると、彼女は拳を放つ。
天上さんの拳が玄田に触れた瞬間、なぜか玄田が纏っていた風が掻き消えた。そして、彼は大きく後方に吹き飛び、ゴロゴロと地面を転がった。
玄田は静止した後、地面から勢いよく跳ね起き、今度は左右の腕を上下に振り始めた。
「ガキなんぞにやられるかァーーーー!」
腕が振り下ろされるたびに、玄田の手から放たれる突風。
それらは、砂埃を巻き上げながら天上さんへと殺到していく。
そして、天上さんはそれらを光を纏った拳で殴り、次々に
それが効かないと悟った玄田は、またもや両方の腕に螺旋状の風を纏い、前方へ突き出した。
すると、かなり巨大な螺旋状の竜巻が砂埃を巻き上げながら横向きに天上さんへと迫っていく。
天上さんはそれに対し思いっきり、光の拳で殴りつける。
あっけなく消え去る竜巻。
そして、玄田は目を見開き
「嘘だろ!!
これを食らってただで済むわけないだろ!!」
玄田は喚いた後、全身に風を纏い、2メートルくらい宙に舞い上がった。
玄田は一瞬で、天上さんとの距離を詰める。
そして、放たれる回し蹴り。
「コレでくたばりやがれェーーッ!!」
しかし、天上さんが玄田を光が纏った足で彼を蹴り上げると、全身の風がかき消される。
そして、玄田は再び地面をゴロゴロ転がってゆく。
玄田は怒りの表情を浮かべながら立ち上がると、全身に風を纏い直す。
そうして、彼は拳を前方に突きすと、腕の風が一層強くなり、天上さん目掛け一直線に突進していった。
「死んどけ、クソガキがァーーーーッ!!」
彼女はそんな玄田を見据えながら、いっそう強い光を放った拳を握り込む。
そして、天上さんの眼前まで迫り来る玄田。
彼女は、玄田の拳を容易に回避すると、彼目掛けて拳を放つ。
「この、クソ外道がァ!」
ドコッ!!
そして、天上さんの拳が玄田の顔面へと、めり込む。
掻き消える螺旋状の風と大きく吹き飛ぶ玄田。
彼は、数100メートルくらい吹き飛ぶと、3回くらいバウンドしてからようやく停止し、ピクリとも動かなくなった。
「ったく。これぐらいで屁張っちまうのか?教師ってーのは根性ねえなあ」
彼女は、そんな玄田を見つめながら、呆れたようにそう呟く。
そして、天上さんは拳を下ろしたのであった。
先生の方を見てみると、彼は気絶しているようで、なんと顔面が大きく陥没していたのだ。
そして、私は天上さんへと駆け寄った。
「さ、さっきは
それより怪我とかは大丈夫なの?」
私は、彼女を心配してそう声をかける。
「ま、どってことないかな」
彼女に怪我がないのは何よりだ。
私は安心した。
しかし、この後いったい、どうすればいいんだろ?
あたりを見渡すと、クラスメイトたちはグラウンドの端に避難していたようで、今の光景をずっと眺めていたようである。
ちなみに、私も気づかぬ間に端の方へ移動していたようであったが。
「怪我がなさそうでよかったよ。
まずは職員室へ行こう」
私は、まずは職員室に行き他の先生たちの判断を仰ぐのがベストだと思い、そう言った。
「ああ、そうだな」
私の提案に対し、天上さんはそう返す。
そして、私と天上さんの2人は連れ立って、校舎の中へ戻っていった。
◆
現在、私と天上さんは下校しているところである。
昨日は彼女を一緒に帰るよう誘えなかったが、今日は誘ってみたらokして貰えた。
「天上さん、退学にならなくて本当よかったよ」
私は当初、彼女が退学になるのではと心配していた。
しかし、私や生徒たちの証言のおかげで退学を免れたようだ。
「もし退学になったところでpチューバーになって好きなことだけして生きてくつもりなんだけどな」
すると、彼女は軽い口調でそう呟いた。
果たして、そんな上手くいくものなのかなあ?
「せっかく高校に入ったんだから卒業まで頑張ろうよ」
私は、卒業まで高校で学ぶことを提案する。
「ま、今のところはそうするつもりだぜ。勝手に辞めたら、後で義母が色々とうるさいからなあ」
彼女は、私の提案に対してそう答える。
天上さんの義母って意外とちゃっかりした人なのだろうか?
「でも、明日からは3日間休みだぜ。何しようかなー?」
天上さんは退学にはならなかったが、彼女は停学3日を食らっていた。
とはいえ、彼女が先生に対し暴力を振るったことは確かだ。学校としては建前上何らかの罰を与える必要があったのだろう。
「お菓子作りとか?」
「んー。俺料理したことないんだよなあ」
どうやら、天上さんは料理をしたことがないらしい。普段の食事はどうしてるのだろうか?
「それなら、いつも晩御飯とかどうしてるの?」
「いつも、出前を取るか外食って感じだな」
「それはちょっと不健康なんじゃないかなあ?たまには自分で作ってみようよ。なんなら、今度教えるよ」
「気が向いたら頼むわ」
いつかは私の家で一緒に料理を作ったり、お泊まり会をするのもいいかもしれない。
ふと、私は今後体育はどうなるのかが気になったので天上さんに話を振った。
「ところで、先生いなくなっちゃったけど、今後の体育はどうなるのかなあ?」
玄田先生はあれほどのことをしたのだ。当然学校を追放された。
「自由時間じゃね?
バスケやりたいやつはバスケをやって、寝たいやつは寝るって感じになるんじゃねえか?」
「流石に、そうはならないと思うなあ。
多分、他のクラスと合同とかそんな感じになると思う」
「そうか?自由時間の方が絶対いいと思うけどな」
そうこうしてるうちに、別れ道にたどり着いたので、私と天上さんは別々の道で家に帰っていった。
今日も色々あったなあ。
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