第4話 眠れる一族
この世界には、眠れる一族と呼ばれる者達が居る。ある時突然眠りから覚めなくなり、それ以降歳を取らなくなる。そして異界から来るモノの魂を宿し、本人の記憶と魂の記憶を持ったイキモノとなり目覚めるのだ。これがどれだけ危険なことかは、想像に難くないだろう。それ故、この一族の血縁の者は隔離されて育つ事となる。そう、イキモノにこの世界の情報を与えぬために。
ふと目覚めた私は、異様な景色を目にした。ここはまるで死体安置所の様であった。そして二人分の記憶がある事に混乱した、私は誰なのか? いや、どちらの記憶も私だ。人格としては、恐らく混じってしまったようでよく分からない。しかし、いくら記憶を探っても状況が分からない。
その時、扉が開くような音がした。
「言葉は分かるな?」
第一声がそれであった、が嫌な感じはしない
「ああ」
とだけ答えた。
その後、彼からいろいろと説明され、更に彼の質問に答えた。やっと状況を把握した、私は観察されていたことやその理由も含めて。彼の進めもあり、技術者として協力することになった。私の専門分野は、この世界ではあまり研究が進んでいなかったようである。しかし他の分野は殆どが前世? の上を行っていた、「十分に発達した科学は、魔法と区別がつかない」という台詞を思い出してしまうくらいには。
こうして私はこの世界での生活基盤を手に入れ、自分の研究に集中できる環境になった。犠牲になったこの体の持ち主には悪いが、感謝するしかない。
ー了ー
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