第2話 冒険に出ようっ!

 私はこの世界に転移してきた、なぜか言葉も分かるし文字も読める。なんてご都合主義な話なんだろう、そう思っていた。でもね、所詮それだけじゃ生きていけない。食べる必要もあるし、住むところも必要だし。イキモノということで救済措置の意味もあるけど、ギルドで登録後身分証明書代わりになるカードを入手する事ができた。これは無料で、更に一般常識や軽くこの世界の事についても無料で教えて貰えた。異世界から来た生物は、種族に関係なくイキモノという名称で呼ばれるんだって。


 この世界の生物は、基本的に収納系のスキルを所持しているらしく、それはイキモノも例外ではないと。便利だね~と思ったものの、容量は大したことがないとか。あとは人口でいいのかな、とても少ないから固まって住んでいて、都市の外には危険な生物が繁殖しているらしい。それを回収してきて、生物学者に売ると良いお金になるという話だけど、この世界の住人からは避けられているんだよね。もちろん、危険だから。この世界に生活の基盤が無いイキモノとかが、この職を選ぶんだとか。そしてなんとか装備を整えた、小型の盾と鈍器と皮の衣類という組み合わせ。武器なんて扱ったことないから、一番技術が要らない鈍器にしたのだ。


 トレーニングも積んだし、そこそこ戦えるというお墨付きを貰って、今日が初陣である。外に出るための書類の記入、いくつかのチェックを受けてやっと外出である。


 門の外は見渡す限りの草むらだった。さて、行きますか。数歩歩いたところで、唐突に意識が途絶えた。



 そこに居るのは、イキモノの死体を咥えた大きな肉食動物であった。その動物は息の根を止めた獲物を咥え、ゆっくりと立ち去っていった。



ー了ー

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