異世界から来たりしイキモノ

ブリュヴェール(千茶)(ФωФ)猫部

第1話 来た、見た、死んだ!?

 私は軽い目眩を覚えた、ここはどこで私は何をしていたのか? そう思ったが、息も苦しく意識は薄れていく。とりあえず、いままで見たこともない景色であったとしか認識できなかった。私は死ぬんだろうな……そして意識は途絶えた。




 あ? なんだあれは? あー、あれか。たまにあるとは聞いていたが、実際に目撃するのは初めてだった。異世界からイキモノが転移してくるという噂は聞いていたが、それを目撃したという知り合いも居なかったし、所詮与太話だろうという認識だった。でもなぁ、見てしまったからには仕方がない。俺はある番号をコールした。




 夢を見ていた、全身から血を流した私の体を俯瞰して見ている。見たこともない生物が、私の死体を囲んでいた。何か指示をしたのは、リーダー的な存在だろう。私の体は、まるで棺のような箱に入れられ運ばれていった。




 その部屋には液体を満たした水槽のような物が設置されていて、その中に機械に繋がれたイキモノが横たわっていた。なんとか生命活動を続けられるようにはしたが、このままでは長くないだろう。どうするべきか悩んでいる、サンプルとして死体を解剖するか。だが折角蘇生したのだから、生きた状態で実験したいものだ。言葉通り、このイキモノは一回死んでいる。


 数日が経過したが、そのイキモノはまだ生きている。それはそうだ、そう簡単に死なれては困る。転移してきたイキモノは、この世界の環境に耐えられる体の作りをしていない事も多い、当然その対策も現在は確立されている。少し悩んだものの、結局は生きたサンプルという誘惑には勝てなかった。あとは意識が戻れば良いのだが、意思疎通ができなければ無意味なんだよな。過去のサンプル情報を洗った結果、恐らくどの系統かは予想が着いた。意志疎通ができる可能性は高そうであった。


 やがてイキモノは目を覚ましたようだが、苦しそうな表情をしている。そして暴れだしたと思ったら、突然動かなくなった。期待していた情報はもう、手に入らない。




 そう、液体の中で呼吸できるという認識が無かったイキモノは、溺死したのである。



ー了ー

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