生きることを拒絶された世界
凪十(なぎてん)
第1話 呪いへの疑問
人間は生きている。それは事実であるが真実ではない。
何かを成し遂げようと、生を望んだ瞬間に死んでしまうという呪いがかけられた世界。
人々に生気はなく、生きる目的もなく、ただ日々を過ごしているだけだ。
目的を見つけ、生きたいと願った人間は死んでいく。 世界に絶望感を持つほど生きながらえる。
しかし、呪いに耐性がある者がたびたび誕生する。 レジスタンスと呼ばれている。
そんな人間は希望を持ち夢を持つ、しかし、、、 人間の寿命は永遠ではない。
呪いを受けている人間は永遠の命と引き換えに、抜け殻のようになる。 レジスタンスは、生への欲求を持つことはできるが寿命が尽きると死んでしまう。 結局は虚な人間だけが残るのだ。
そんな中、一人のレジスタンスが呪いを解くべく研究を始めた。 呪いについの文献はいくつか残っている。 しかし、目につく文献は全て呪いの解説であり呪いそのものの事を記したものはない。
ある日、いつものように文献をあさっているとメモのようなものを見つけた。
『呪いの原因については調査を続ける。世界中にヒントを残す。自分が死んでも引き継ぐ者が現れる事を願って。まずは魔術に詳しい隣人を訪ねることにする。』
それを読んだレジスタンスは、まずは魔術について調べることにした。
しかしいくら情報を集めようとしても魔術に関するものは見つからなかった。
そんな中、一つの記憶が蘇る。 子供の頃に読んだ童話だ。 そんなバカなとは思ったが、その童話が書かれている本を探すことにした。
タイトルは『エルフの贈り物』 しかし、見つからない。
内容も子供の頃に読んだきりなので大まかにしか覚えていない。
『一人の人間が、森で倒れている人間を助けて見返りになんでも願いの叶う魔法を授かる。』というものだ。
あまりにも馬鹿げていると思った。
エルフなんて見たこともない、童話の話だからフィクションだと思っている。
しかし、手がかりはこれしかないと思った。
まずは、本を探す旅に出ようと考えた。
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