第3話 白にも黒にも成りきれない①

 人々には魂が宿っている。

 そしてそれはモノにも宿っていると言われている。

 森羅万象ありとあらゆるもの、全てに魂と呼ばれるモノを心にしている。

 それが何かは分からない。それは目に見えないとされていたのだから、当然だろう。空想で描かれ、想像で書かれることがあっても、誰一人としてそれを実際に見たという人間はいない。

 ただ誰にも確認されていない魂というモノは、それでも全員に等しく知られていた。在るか無いか、根底としてその論争は起きるものの、その存在について、そういう考え方があることは全員が知っていた。

 ならば仮に魂というモノがあるとして。

 それは何処に向かうのか。

 俗に天国と呼ばれている場所か。

 それともその場で消滅霧散するのか。

 やはりこれもまた誰にも分からない。時代が幾ら進んだところで、それに対する答えは、誰も得ることが出来なかった。

 魂が目に見えて知覚出来る人間は当然発見されていない。発見されたとしても、それもまた誰にも理解されること無く、淘汰されていく。

 人類はそうして発展を続けていった。

 人類はそうして最適化に力を注いだ。

 人類はそうして滅亡を。人類はそうして破滅を。人類はそうして壊滅を。

 知らず知らずに選び歩んでいた。

 そして因果なことに。

 彼らが信じず否定してきた魂に、自らが昇華された。

 そして魂が何処へ向かうのか。

 それらを知覚出来る人間がいても。

 その疑問が解消されることは無かった。

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