不安
『
「よっぽど疲れたんだろうねえ」
謎のゴーレム襲来を受けた
空腹音と共に目が覚めた
まさか、との思いが過った
ただ眠っているだけ、よっぽど疲れているのだろうと思いつつも、もしかしたら病にかかっているのかもとの考えが浮かんでは駆け走り、一階にいる
「本当に疲れているだけか?病気じゃないか?医者を呼んだ方がいいんじゃないか?」
「子どもってのはすんごく眠る生物なんだよ。熱もないし呼吸音も脈も正常だし。うん。医者は必要ないね」
てきぱきと
「心配性だねえ。まさか、ヘルメットの中で泣いてないだろうね?」
「泣いてねえし。子どもってすぐに病気になるって印象だったからよ。はああ。病気じゃないなら、いいんだよ」
「やっぱり泣いてんじゃないかい?涙声だよ」
「泣いてねえし」
「そのヘルメット、本当にどうにかできないのかい?」
「できねえ」
ヘルメットを通り過ぎて、触れられないのだ。
どうやらこのヘルメットは立体映像らしい。
「記憶も失くして、ヘルメットも外せない。まさか、この子は幼くさせられたあんたの恋人かい?」
「いや。恋人じゃねえけど。どんな関係かと言われると。社長と部下?」
「記憶を失くしてるからわからないのか」
「そうそう」
「けど、顔が見えないってのは厄介だねえ。私はどうでもいいけど。この子は不安なんじゃないかい?あんたも。自分の顔が見えなくて不安じゃないかい?」
「えー」
「不安かも」
(2024.6.11)
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