しののめの影の息吹

藤泉都理

出会い






 定年退職を晴れて迎えた日。

 社長からの花束の贈呈、上司、同僚、部下からの溢れんばかりの拍手という新たな門出に相応しい演出に涙がちょちょぎれながらも、退社。

 さあ、旅の始まりだ。

 家路につきながら、貯めに貯め込んだ金を一気に放出する時がやってきたと、花束を天高く掲げた直後の事だ。




 花束が、爆発。

 私は死んだ、

 かに思えたが。



















「俺が助けてやるからさあ。ちょっくら同行してくれねえか?」


 おまえの社長を探す旅に。

 胡散臭い男の言葉に頷いた私は、命の危機から脱する事はできた。

 かに、思えた。











(2024.4.21)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る