第47話 最悪の事態
アルゴはすでに俺たちの居場所を掴んでいた。
もしかしたら、俺がパーティーを離れると想定していて、その機会をずっと待っていたのかもしれない。
迂闊だった。
もっと慎重に行動すべきだった。
後悔の念にかられながらも、俺はなんとかミレインたちが探索しているダンジョンへとたどり着く。
現場は騒然としていた。
そこでは明らかに「何か」が起きたあとのようだ。
全身から血の気が引く。
ミレインの実力やメルファ、トーラの援護も考えればそう簡単にやられたりしないとは思うのだが……それでも心配になって駆けだそうとした時、ひとりの冒険者に肩を掴まれた。
「あんた、今ここに入るのはやめておけ」
「……忠告はありがたいが、仲間がまだ中にいるんだ」
一刻も早く助け出さなくてはという気持ちが先走り、男の手をはねのける。
だが、それでも彼は食い下がってきた。
「気持ちは分かるが落ち着け! 中に入って行ったヤツはかなりやべぇヤツだぞ! 他の冒険者の話じゃ元救世主パーティーのリーダーだったらしい!」
「知っています……彼もまた元仲間ですからね」
「な、何っ!?」
この言葉に、周りの他の冒険者も反応を示した。
「今の話は本当なのか?」
「ああ……ヤツを止めるためにも、俺はダンジョンへ入る」
「だが、あいつはかなり強かったぞ?」
恐らく、ダンジョンを荒らされまいと戦いを挑んだ者がいたのだろう。しかし、アルゴはそんな彼らを返り討ちにしていった。その辺は救世主パーティーと呼ばれるだけはある。
だが、だからといって野放しにもできない。
それに……俺たちならば止められるはずだ。
「ヤツはダンジョンのどの辺りにいたか分かりますか?」
「とにかく億を目指していた。ヤツが狙っているという相手がその方向にいるとかで……」
ミレインたちのことだな。
クエストの内容的にダンジョンの最奥部を目指す必要があったから、ルート的にも合っている。
恐らく、アルゴはミレインの魔力を追っているのだろう。
自分から追いだしておいて凄い執着心だな。
俺は他の冒険者たちに危険だから中へは入らないようにと忠告をしてからダンジョンに足を踏み入れる。
「ここは……確か氷に覆われているダンジョンだったな」
入った瞬間からひんやりとした冷気をはらむ風が吹いてくる。
果たして、みんな無事なのか……不安を抱えつつ、俺はダンジョンの奥を目指して進んでいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます