第43話 名案
地中に潜っているモンスターをなんとか地上へと引っ張り出すため、俺たちは策を練った。
目的は明確だ。
それを実現させるためには……魔法が使えるメルファの存在が欠かせないだろう。
「メルファ、ここは君の力を借りるぞ」
「お任せ」
俺からの指示を受けたメルファは早速魔力を練り始める。
どうやら、この状況を打開できる手段を思いついたようだな。勘の良いあの子のことだからきっと俺と同じ閃きにたどり着いただろう。
「地属性魔法――えい」
はたから見たら軽いノリに見えるが、メルファの場合はあれで大真面目なんだよな。
その証拠に、俺が求めていた効果の魔法を発動させてくれた。
メルファの魔力によって生じたのは小規模な横揺れ。
いわば意図的に地震を起こしたのだ。
これにより、地中に潜んでいたモンスターは地響きをともって地上へとその巨大な姿を現した。
「こいつは……凄い迫力だな」
俺たちの前に姿を見せたのは大きなモグラ型のモンスターであった。
軽く見積もって十メートルか。
こんなヤツが村のすぐ近くにある畑の地下に眠っていたとはな。
「さっさと片付けるか」
「ですね。村に被害が出るといけませんから」
「ぶん殴れる場所に出てきてくれたのならこっちのもんだ!」
最初に動いたのはやはりトーラであった。
さっきから暴れたくてうずうずしているって感じだったし、ミレインもそれを察して先陣を譲ったみたいだな。
「トーラ、一ヵ月の特訓の成果を見せてやれ」
「あいよ!」
意気揚々と飛びだしていったトーラ。
キャリアを積んだ冒険者でも、あれだけの巨体を前にしたら怖気づくだろう。
しかし、トーラはまったく別の感情を抱いている。
いい腕試しの相手。
言ってみれば、ライバル視か。
自分より強いかもしれないという相手を前にすると、戦いたいという衝動にかられるタイプなんだよな。
「はああああああああああああああっ!」
モンスターを飲み込んでしまうくらい大きな雄叫びをあげて攻撃を仕掛ける。
自慢の拳が敵の鼻っ面を捉えると、十倍近い体格差がありながらもダメージを与えることに成功したようで、相手は痛々しい鳴き声をあげながら悶え苦しんだ。
「見事に決まりましたね」
「あれは痛い」
遠くから見守るミレインとメルファはトーラの放った強烈な一撃に拍手を送っていた。
ダンジョンに潜む強力なモンスターのほとんどはあれで倒されたが……さすがに今回の敵はデカすぎたようだ。
「ブオオオオオオオオオオオッ!」
ダメージを負ってはいるが、倒すまでには至らなかったようだ。
「では、ここから先は……」
「私たちが相手をする」
第二陣としてミレインとメルファがモンスターへと挑む。
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