第42話 モンスターはどこ?

 クラン村に訪れたピンチをなんとか救うため、俺たちは畑を荒らすモンスターの討伐に乗りだした――が、これが思いのほか難航する。


 最大の難点は敵の姿が見えないことだった。

 これでは対応のしようがない。

 相手を分析して策を練っていくか、或いはそのままゴリ押しで倒すのか……選択肢はあってもそれを決める根拠に乏しい。


「どうするの?」

「うーん……ここで見張っていても、日中にヤツが出てくる可能性は低いか……」


 犯行は深夜に行われているようだから、きっと夜行性なのだろう。そうなると、昼間はどこかに潜んで動かないという可能性が高いな。


 かといって、この場を離れるというのも危険な気がする。

 確かに、農作物への被害が出たのは深夜だったが、今回もそうなるとは限らないからだ。


 これも、やはりモンスターの正体がハッキリしていないことが原因。

 せめてどんなヤツが相手なのか分かれば……


「む?」


 そんなことを考えながら地面に座り込んでいると、わずかに振動が。


「まさか……」


 ある予感が脳裏をよぎり、俺は地面へと耳をつけた。


「な、何をやっているんだよ」

「お腹痛いの?」

「……なるほど。そういうわけですか」


 トーラとメルファは俺の行動の意図を読み取れないようだったが、ミレインは気づいたようだな。


「モンスターはきっと――地面の中にいるんですね?」

「そうかもしれないと思って探っているんだが……」

「分かった! あたしもやる!」

「私も」


 地中に潜むモンスターの場所を特定すれば、何か対策が浮かんでくるかもしれない。

 そう思い、全員で周辺を調べた結果――


「っ! この下から変な音が聞こえるぞ!」


 トーラが早速異変をキャッチする。

 彼女のもとまで駆け寄ると、すぐに俺も地面に耳をつけた。


「――間違いない。この下に巨大な生物がいるな」


 場所が分かればこちらのものだ。

 俺はミレインとメルファに戦闘が始まると思うので注意勧告をしてくるよう頼む。

 残ったトーラとともに地中に眠るモンスターをどうやって地上まで引っ張りだしてくれるのか、その策を考えていた。


「できれば明るい今の時間に決着をつけたいところだが……」

「それなら叩き起こしやろうぜ!」


 拳をガッガッとぶつけ合いながら、トーラは言う。

 ……なるほど。


「そいつは名案だ、トーラ」


 俺は彼女の考案した策を実行してみることにした。

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