第37話 これからのこと

 楽しい時間はあっという間に過ぎていき、アランは自分の部屋へと戻っていった。


 それからは三人との時間を過ごす。

 いつもならトーラとメルファは爆睡している時間だが、いつもと違った環境ということもあって眼が冴えているらしく、まったく眠くないという。


 とはいえ、あまり夜更かししては明日の探索に響く。

 なので時間を決めて寝ることにした。


「えぇ! もっと遊びたい!」


 トーラは嫌がっていたが、しばらくすると眠気が勝ったのかそのまま静かに寝息を立てていた。結局誰よりも早く夢の世界へ旅立ってしまったか。


「ベッドに寝かせてきますね」

「頼むよ、ミレイン。メルファも一緒に行くか?」

「……行く」

 

 眠そうに目をこすっていたメルファに声をかけると、さすがにこちらも限界が来たらしくミレインについていってそのままトーラと一緒に眠ってしまった。


「随分はしゃいでいましたね」

「ふたりにとっては初めての経験だろうしな。浮かれてしまうのも無理はないさ」


 ふたりとも同年代の子どもと比べると態度や実力は比べ物にならないくらい上だが、ああいう反応を見ていると年相応の子どもだなと思える。


「……師匠」


 ふたりが眠った途端、何やら神妙な面持ちとなったミレイン。


「どうかしたか?」

「アルゴのことが気になってしまって……」

「ミレインもか」


 お互い考えることは一緒か。

 アルゴの性格を考えたら執拗に追ってくるのは目に見えている。メルファやトーラの負担を考えたら、あまりあちこちをウロウロと動き回るのは得策と言えないか。


「あいつと対峙するようなことがあれば、ハッキリとあきらめてもらうしかないな」

「そう簡単に引き下がるでしょうか……」

「まあ、無理だろうな」


 戦闘は避けられないだろう。

 できることなら穏便に済ませたいところではあるが、もしあいつがそんな殊勝な考えを持てたら救世主パーティーとしての資格を剥奪されるまで荒れたりはしないだろう。


 ヤツを突き動かしているのはプライドだ。

 それを傷つけられては黙っていられないはず。


「あいつが戦いを望むというなら、俺が相手をするよ。ミレインに無理はさせられない」

「で、でも……」

「こういう時は師匠を頼るもんだ」

「師匠……ありがとうございます」


 胸を叩き、大丈夫だと伝える。

 弟子を守るのも師匠の務めだからな。

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