第21話 またしてもトラブル?
リゾムの自警団強化については賛成だ。
この町の治安が良くなればまた以前のように冒険者が増え、活性化する。そうなれば経済効果も見込めるしな。
騎士団との面会も終わったのでミレインたちとの待ち合わせ場所へ移動。
すでにふたりは到着していたのだが、どうも来た時と印象が違う。
「おっ? 揃いの髪飾りを買ったのか」
「そうなんです! メルファの提案なんですよ!」
「パーティーメンバーっぽい」
なるほど。
確かに冒険者パーティーの中には専用のロゴ作ったり統一感を出しているところもあるからな。この前のグリーン・バレーで知り合った冒険者たちも似たようなことしていたし、メルファはそれに影響されたのか。
ただ、どうもメルファは俺にも髪飾りを買おうとしてミレインに止められたらしい。
……ナイスだ、ミレイン。
さすがに三十手前の成人男性にあの髪飾りはちょっとキツいからな。
「騎士団の方はなんて言っていたんですか?」
「ここに新しく自警団を組織するようだ。俺も何か力になろうと思っている」
「みんないい人だから、私も協力する」
メルファはすっかりギルドやダンジョンといった冒険者稼業にかかわるものを気に入ったようだ。ドネスがいなくなってからはあくどい連中も減ったし、いい傾向だな。
「明日はダンジョンへ行きますよね」
「そのつもりだ。ただ、場所としてはまたグリーン・バレーになるかな」
「前はよく見て回れなかった」
メルファの言うように、前回は
今日については用件を済ませたし、暗くなる前にクラン村へ帰ろうとしたのだが、
「なんだぁ、てめぇ!」
突然和やかな空気を切り裂くような怒号が響き渡る。
「なんだ……?」
「穏やかな感じじゃないですね」
ついさっき平和になったなぁと実感したばかりなのに、まだこの手の輩がうろついていたとは。暴力沙汰なら放っておけないと声のした方向へ走りだした――すると、同じく声を聞いて集まったのか、人だかりができていた。
その中心にいるのは、
「うん? あれは……」
十二、三歳ほどの女の子。
その反対側には屈強な大男が。
どうやら、トラブルのもとはこのふたりらしい。
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