⑩
ダラダラと10回まで続いた。
せっかくキリがいいので、今回は友人について書こうと思う。遠出については次回以降に譲る。
今回の遠出はこの友人に会うためだった。仕事を辞めたことや未遂をしたことを電話すると、辞めたんなら遊びに来なよと誘ってくれた。大学のときはべったりずっと一緒にいたが、社会人になってからは、たまに電話をするくらいで会って遊ぶことが減っていた。ちょうどいい機会だし、合わないんなら辞めてよかったんじゃね、と少し困ったような、だるそうな声で言ってくれた。
とても嬉しかった。
電話でも、会ったときも、未遂については少し注意をされた。せめてやる前に電話をしろ、死ぬ前に金は使い果たせよと言われた。
でもそれ以外、同情することもなく、むしろ面白がってくれた。
本当にありがたかった。友人のこの性格に自分は救われていると改めて思った。
友人とは大学の時に仲良くなった。一年生のとき、たまたま授業で隣になって、たまたま話が合って、たまたま仲良くなって、そのままダラダラ過ごしていたら、いつの間にか四年経っていた。
喧嘩したことは多くない。ただくだらないことで言い合いはよくした気がする。毎回友人が折れてくれていたから喧嘩まで発展しなかったことが多かった。
私は友人に対して結構わがままを言ってしまうきらいがある。友人は全てを受け入れるわけではないけど、かといって全て突っぱねるわけでもなく、あくまで自分の軸を大切にしながら、私のことも大切に付き合ってくれた。口では一番雑に扱える友達だと嘯くが、本当は気にかけてくれていることを知っている。そういう点を尊敬しているし、ありがたく思っている。
自粛期間と大学生活が被っていたので、会えない日は多かった。だからというわけでもないが、隙を見つけては電話していた。
共通の話題はそこそこある。たとえばお互い音楽が好きだから、Adoとか、Awichとか、amazarashiとか、Creepy Nutsとか。アニメが好きだから、『僕のヒーローアカデミア』とか『BLEACH』とか『ONE PIECE』とか。小説も好きだから、伊坂幸太郎作品とか、斜線堂有紀作品とか。共通の知人の話もよくした。授業の話もした。麻雀も一緒に覚えた。あまりテレビを見ない私におすすめの芸人を教えてくれた。私の話をよく聞いてくれて、自分の話もよくしてくれた。
自粛期間が明けてから、それまでと変わらず一緒に出かけた。ラーメンを食べに行ったり、服を買いに行ったり、カラオケに行ったり。宅飲みもよくした。Switchを持ち寄って遊んで、床で雑魚寝して、とろとろと大学に行く。大学についてもすぐには講義室に行かず、喫煙所でだらだらしながら、あれこれ話す。ようやく一本吸い終わったところで、また火をつけて。それを延々繰り返して何回も授業をふけた。
あの生活にまた戻りたいといつでも思っている。死ぬ間際でもきっと思うはずだ。それくらい煌めいていた。
友人は根が明るいので、自分とは対極にいるのだが、それでもここまで関係が続いているのは、やっぱり友人が見離さずいてくれたからだ。なんだかんだ気にかけてくれていることが嬉しい。自分も友人も互いを雑に扱って、適当に関係が続くことを望んでいて、そのくらいの距離感が心地いい。
小説を書く上でも、友人は結構な原動力になっている。いつか文壇に上がって、友人に感謝を述べたい。そのための作品を何作も書きたい。そのためにも小説家にならなくてはならない。友情とか、執着とか、依存とか、呪いとか。関係を表す言葉は多くあるけど、そういった垣根を超えて、その先で仲良くしたい。
これを私が言うと悪い冗談になるが、友人には長生きしてもらいたいものだ。
追記
いつも読んでいただきありがとうございます。
なんとかグダつきながら10回まで続きました。
メンタルは依然崩れたままで、小説もなかなか安定して書けなくて、いまだに芽も出てなくて、それでも読んでくださる人がいる事実が支えになっています。
こんな散文まで読んでくれている人に、私を応援していて良かったと思ってもらえるように、これからも頑張ります。
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