第45話 スラム?
「バーディ、頼みがある。少しフィオを連れ出してくれないか」
「あん? 何だいきなり」
「……俺は、フィオに傷ついて欲しくないんだ……!!」
「本当に何なんだよいきなり」
俺に不貞の噂があると聞いた後、俺の行動は早かった。
ミクアルの里から帰って以降、俺はフィオはずっと一緒だった。彼女がその噂を聞いている可能性は低い。
だったらフィオが不快な思いをする前に、その噂の出所を突き止めて訂正してしまおう。
たとえその噂を聞いたとて、フィオはきっと俺を信じてくれると思う。だけど、彼女の心に負担をかけたくない。彼女の涙は、俺にとって純金よりも重い。
それに俺は『フィオを泣かす真似はしない』と、あの老人に誓った。絶対に、俺は彼女の笑顔を守って見せる。
「後で俺も行くと言って、フィオを飲みに誘っておいてくれ。会計は俺が出そう。だから、頼むバーディ……っ!!」
「お、おう分かった、何か事情があるんだな? つってもな、俺達が行く店でお前が場所分かりそうなのは……、ああゼア・グロッセがあったな。ジェニファーちゃんの店だ、そこで良いか?」
「構わん、遅くなるかもしれないが合流する。任せたぞ!」
「ああ、了解」
俺はフィオの事をバーディに任せると、バーディの部屋を出た。
まずはマーミャ本人に話を聞いてみよう。何かを知っているかもしれない。
「……」
俺がマーミャと付き合っている? 一体どこからそんな噂が。
ひりつく焦燥感を胸に抱え、俺は全力で駆けて行った。
「……居るな」
アジトに着くと、中には仲間たちが揃っている気配がした。
マーミャの気配もある。良かった、アジトに居てくれたらしい。
「この時間なら、マーミャは私室か庭か?」
俺はアジトに入り、マーミャの部屋へと向かおうとした。
しかし家に入った瞬間に、居間から金切り声が鳴り響いているのが聞こえた。
複数名がギャアギャアと喧嘩しているらしい。マーミャの声も混じっているな。
ちょうどいい、皆いるなら全員から話を聞こう。
「こんのクソボケ女がぁ!!!」
「ずるいでずずるいでずずるいでずぅぅぅぅぅ!!」
「……っ」
そう判断して居間にの扉を開けると、凄まじい罵声と甲高い叫びで頭がキーンとなった。
……何の話をしているんだ。
「いや間違いない、そんな気がしてきたぞ! わた、私告白された気がする!」
「嘘です!! だってさっきまで『そんな嬉しいこと、あったっけ……?』って呟いてたじゃないですか!」
「わー聞こえない、聞こえない! 気が付いたらそうなってたんだ、もうどうしようもない事だ諦めろ! どうだ、悔しいかぁ!?」
「頭沸いてるのかこの駄剣士は!! 事実と妄想の区別もつかなくなったのか!」
喧々諤々とは、まさのこの様であった。
いつもの胴着姿で、困惑しながらもドヤ顔している俺の推定浮気相手、マーミャ。彼女に掴み掛りガクガクと肩を揺さぶっているユリィに、遠目から腹立たしそうにその様を眺めるリンとレイ。
……また喧嘩しているのか、この四人は。
「あ、アルト様!! な、なんですかあの噂! 嘘ですよね、事実無根ですよね、私は無実ですよね!!」
「ユリィ、落ち着いてくれ。何だ、皆もあの噂を聞いていたのか」
「今聞いたところですよ!! 私はぜんっぜん信じてませんけど! アルト様が、アルト様が……!!」
目に涙を浮かべながら、俺の肩を揺さぶってくるユリィ。思った以上に動揺しているな。
俺が誰かと付き合ったくらいで、何故そんなに慌てているのだろうか。
「アルト様がマーミャさんの一族郎党をみんな孕ませて、責任取って婿養子入りだなんて!!」
「俺は一体何をやってるんだ!?」
一族郎党を孕ませるってどういうことだ。
「王様に問いただされて、王の面前でマーミャに告白したのだと私は聞いたぞ」
「アレ? 私の一族がみんな孕まされたのであれば、私にも子供が出来ているのか!? うわぁ、どんな名前にしよう」
「何を悩んでるんだこの馬鹿は。マーミャ、デマを流した側のお前がなんで信じ切ってるんだ!?」
「デマなんて遠回りなこと、私がする訳ないだろう! きっと事実に違いないぞ!!」
「事実なら『きっと』って使わないと思います……、くすん。この、泥棒猫!!」
「……はぁ。馬鹿ばっかりだし」
これは、どういうことだ? 俺の信用を落とさせる離間策あたりだろうか。
噂の出所が分からない事には、事実を突き止められない。リンに情報収集を頼むべきか。
「……それより先に、確認する。アルト、噂は事実?」
他の3人と違い冷静な盗賊少女、リンが疲れた目で俺に噂の真偽を聞いてきた。当然そんなもの、答えは決まってる。
「いや、真実ではない。俺はマーミャの一家に関わったことも殆ど無いし、マーミャに告白なんてしていない」
「……だよね。うん、馬鹿ども早く落ち着け」
「ほら、ほら!! 良かった、やっぱりアルトさんは強引に行為を迫るような人間じゃないですから!!」
「……うん、アルトが嫌がる女の子相手に孕むまで何度も襲うような真似する訳ないし」
「当然だな。私もアルトの女性関係は清廉だと信じていたぞ」
……すっごく耳が痛い。
「そんな……。噂は噂でしかなかったというのか」
「お前はそれを知ってるだろ、馬鹿か。くだらない真似をするなよ、失望したぞお前には」
がっくりと膝をつくマ-ミャと、黒魔導師のレイは冷たい目で見下した。ユリィも、疑わしそうな眼をマーミャに向けている。
マーミャが、あんな噂を流した犯人なのだろうか? だとすれば何のために?
「その、マーミャ。何だ、あの噂は君が流したのか?」
「……え? いや、その、私は知らないぞアルト。本当なんだ、気付いたらそんな噂が流れていたんだ」
「それは不思議だな。で? そんな戯言を信じる人間が、この場に居ると思うか?」
レイが、顔を険しくしたままマーミャに詰め寄った。ユリィも、リンも怖い顔をしたままだ。
何だろう、急に気温が下がった気がするぞ? 誰も氷魔法なんて使っていないはずなのに。
「え? え? 私は、ち、違うぞ!! 私はそんな噂流していない!!」
「……」
「マーミャさん、信じられませんよ。その、それはズルいと言うか、しちゃダメだと思います」
「なぁマーミャ。実は私はさ、最初からお前がやったんだろうなとあたりを付けてたんだ。だってさ、その噂を流しているメイドの大半が……」
おびえるマーミャの前に、レイがのっそりと立ち上がり。
「────お前の実家の息がかかった、メイド達だったんだから」
レイは指を突き付けて、侮蔑した目でそう言い放った。
マーミャの実家は、確か武官の大貴族だったな。王宮の中でも、彼女の家は大きな影響力を持っている。
マーミャの実家の権力があれば、王宮で噂を流すことくらい造作もないだろう。
逆にマーミャの実家くらいの大貴族でないと、王宮内に意図的に噂を流せまい。
「……え。知らない、私は、本当に……」
「これ以上の言い訳は見苦しいぞマーミャ。本当のことを言え」
「……」
「マーミャさん。素直になられた方が、その」
つまり、普通に考えれば犯人はマーミャ以外にあり得ない。だが、何だろうこの感じは。
俺には、今にも泣きだしそうなマーミャの顔に、嘘があるようには思えないのだ。そもそも、彼女がそんな噂を流して何の得があるというのだ?
違う、きっと犯人は彼女じゃない。マーミャは、シロだ。だが、その根拠は俺の勘でしかない。どう言えば信じて貰える? そもそも、誰が流した噂かを突き止めないと────
……俺が、足りない頭を絞ってマーミャを救おうと考え込んでいる、その時。
────リンが動いた。
「……元気出すし、マーミャ。私は、信じるよ」
「リ、リン?」
「うん、うん。辛かったねマーミャ、言われもない罪を押し付けられるのは」
「お、お前は信じてくれるのか?」
「……信じるよ。だって」
幼い盗賊少女は、眠そうな瞳を紅く光らせ、マーミャを庇うように立ち上がった。
そして怒りを目線に込めて、ジロリと黒い服の魔導士レイを睨みつけた。
「……レイ。流石にこのやり口は、酷過ぎるし」
「いきなり何を言い出す? やり口が酷いのは、そこの駄剣士の方────」
「……マーミャは馬鹿だから、一番罠にかけやすい、よね。弱いものを狙うそのやり口。ウチが最も嫌いなやり方」
「……ハッ! 意味が分からんぞリン、いきなり何を────」
「────3日前、王都西通りのバー。マーミャの家の執事に、お前が『噂を流すこと』を依頼をした。ご令嬢マーミャの為に、なんて耳触りの良いことを吹かしてね」
リンは、ポツリポツリと話し出した。しゃがみ込んでしまったマーミャを撫でながら、レイから庇うように立ちふさがって。
「裏、取れてるよ。バーのマスター、従業員、その場にいた客。全員、連絡取れるし」
「ああ、成る程。そういうことか、つまりリン、貴様はこの噂は『私がマーミャを陥れる謀略』だと、そう言いたいのか?」
「……違うか? 外道」
「見損なったよ、リン。お前もマーミャに買収されていた口か。噂話を流すのに、お前も一役買ってたのか? アルト、そんなデマ信じないでくれよ?」
「……事実だ。なんなら、証人を呼んでやろうか?」
「そんなもの、金払えば何でも言わせられるよなぁ。いくら払ったんだ、その偽の協力者に」
「……レイ、いい加減にしろ」
ゴゴゴ、重苦しい音が聞こえた気がした。
さっきまで氷点下だったこの部屋の空気が、絶対零度まで下がっている。怖い、今の彼女たちは魔王より怖い。
「え、えっと? マーミャさんがあの噂を流したって言うのは、デマなんですか?」
「……いや、それで合ってるよユリィ。この駄盗賊は、貶める対象は私の方が良いと考えたんだ。リン、薄汚い暗殺者の貴様が考えそうなことだ」
「レイィィィ!! お前か、この妙な噂の黒幕は!! クソったれ、私を嵌めてまで蹴落としたいのか!?」
「……レイ、最近のお前の行動は目に余る。仲間としても、信用出来なくなる……」
四人がその場で睨み合いを始め、再び場は膠着した。
……いつものじゃれ合いではなく、本気の殺意が見え隠れする。これはちょっと、放置できない。
「アルト、こんな戯言を信じないでくれよ? コイツらは自分の欲望に走った、汚い女だ。そもそもリン、お前が本当に『最初から知っていた』、なぜ最初から口に出さない? その場で考え付いたんだろう、私を嵌める手段としてさ」
「……お前がマーミャとアルトの噂を流す意味が分からなかった。だから、誰も信じなかったから黙ってた。……まぁでも、あそこまで行けばお前の醜い考えは透けて見える」
「レイ、いい加減にしろよお前! 私の実家を敵に回して本当に良いんだな?」
「あらら、とうとう実家の権力頼みか。けっ、今までさんざん権力持った人間を潰してきたんだよ、今さら私が権力にビビるとでも思ってるのか?」
「え、えっと。アレ? どっちが言ってることが正しいんですかぁ!? アルト様、これは、どうしたら」
目を吊り上げ口汚く言い争う、俺の大切な仲間たち。
……どうしてこうなるんだ、俺はみんなと仲良くして痛いのに。
俺が、止めないと。素直に、俺の気持ちを皆に伝えれば。
「待ってくれ、皆。落ち着いてくれ、つまりはこういうことだろう?」
皆が、俺に視線を集めた。よし、此処だ。此処で説得する!
「オレとマーミャが付き合ってる、なんて噂を流す悪戯を誰かがやった。その被害者は俺とマーミャだけ。俺達二人が王宮でデマだと説明して回れば、万事解決だろう」
「……アルト。でも、レイは……。コイツ、かなり信用出来ないことをやった」
「違うね。リン、お前が大噓つきだ」
やはりこれだけでは納得しないか、だがそれも想定内だ。まずは、この水掛け論を終わらせる。
「アルト様! だ、誰がが嘘つき、なんですか」
「……ウチを信じて、アルト」
「私を信じてくれるよな!」
その場にいる全員から、覗き込まれる中。
俺は意を決し、一人の少女を指した。
「……悪いがレイ、俺はお前が疑わしいと思ってる」
「……、そうかアルト」
マーミャは嘘を吐いてなさそうで、リンの言葉も真実に聞こえた。
だが、レイは違った。明らかに、何か誤魔化している気配があった。こういった勘は今世では何故か外れない。
レイが冤罪ならば申し訳ないが、犯人を特定しないとこの言い争いは終わらない。
「信じてやれなくてすまない、レイ。だが、何だ。俺は……」
「────いや、そうか。アルト、お前の目を誤魔化すなんて最初から無理だったか。私は、馬鹿だ」
俺の言葉に、小さく俯いたレイは。少し震えた声で、ゆっくりと自白を始めた。
「……だって。もう、約束の期限も近いし。私は見ての通り、虚弱で貧相で穢れてて。普通にやっても、私じゃ勝てないじゃないか」
「レイさん、やっぱり貴女が」
「お前らは良いよな。体も綺麗なまま、親が居て、まっとうなお日様の下を歩いていればそれだけで生きていけたんだからさ。何時襲われるかと恐怖に怯え、何時殴られるか分からないボロボロの娼館で、泥水すすって過ごした私にはコレしかないんだよ」
レイは何かを諦めた表情で、俺の方をすがるように見ながら、話を続ける。
「そんなに悪い事か? ボンクラを蹴落とすことはさ。蹴落とされる方が悪いだろ」
「……悪いに決まってる。ウチ達は、背を預け共に闘う仲間。信頼関係が最も大事だし。ここはスラムじゃない」
「信頼関係、ねぇ。それ守るために指咥えて、アルトが取られるのを黙ってみてろってか!? 絶対に嫌だね、私はそんなの」
「でしたら、正々堂々と戦えばいいではないですか!! そんな卑劣な手を使わないで、正面から……」
「正々堂々って、何だ!? 私の生きていた世界では、流言も窃盗も強姦も殺人も、全て正々堂々さ! 幸せな世界で生きて来たお前の価値観を押し付けるなよユリィ……!! 私にはコレしかないんだよ!!」
叫ぶ。あの日、スラム街でボロキレみたいな姿で俺と出会ったこの黒魔導士は、吠えるように絶叫した。
「私にはアルトしかないんだ!! こんな穢れきった私を気にせず抱きとめてくれたのはアルトだけなんだ!!」
「黙れ!! そんなの全部、お前の自分勝手な欲望だ!」
「何が悪い! 欲望に生きて何が悪い! それが人間の生きる活力だろう!?」
「……見苦しいし、レイ。それ以上は、止めた方がいい。お前自身が、傷つくだけだし」
「だって、だって。私には、こんな方法しか、勝ち方を知らないんだ。普通に恋をしたことなんて無い。私には、コレしかないんだ……」
黒い服を着た青髪少女は、そう言うとドサリとその場に崩れ落ちた。目に涙を浮かべ、そして怯えるようにチラチラと、俺を見ている。
俺は、そんな彼女に声を掛けねばならない。そう思い。一歩彼女の方に進む。ビクッ、とレイの体が震えたが俺は歩みを止めない。
皆が、俺の動向を見守っている。そのまま俺はレイの正面に立ち、彼女を見下ろして。
────軽く、レイの頭を小突いたのだった。
「子供じゃないんだから、人の恋ネタのデマを流すなんて悪戯は止めなさい」
「……ん?」
つまり、全ては彼女の壮大な悪戯だったということだろう。まったく、恋愛ネタが苦手そうなマーミャをからかうなんて、確かに性質が悪い。
確かに、こんな悪戯をしても許してくれそうな人間なんて、『俺しかいない』のだろうけど。マーミャを巻き込んだのはやり過ぎだな。
「聞いてるか? こういう悪戯は案外に人を傷つけるもんだ。マーミャだって、俺と変な噂を立てられて迷惑だっただろう?」
「……あ、そうだな」
「ちゃんと、噂の火消しには付き合ってもらうからな、レイ。悪いが、マーミャも付き合ってくれないか? 俺一人で誤解を解いて回るより、二人で回った方が説得力が出るだろう」
「……お、おう」
あれ? 何だろう、急に皆の目が死んだぞ? 俺は何か、外してしまっただろうか。
「……どうしたんだい、大騒ぎして」
皆が急に静かになったその瞬間。風呂上がりで薄着になったルートが、居間へと入ってきた。
「おお、ルートか。何、レイがくだらない悪戯をしたんでな、少し説教しただけさ。さっき水場で話していたマーミャの件なんだが、アレはレイが悪戯で流したデマなんだ」
「ふぅん? ……ああ、そういう事。よし、大体全部分かった、何か重い罰則を考えておくよ」
「そうか、やはりルートは頼りになるな」
だが、彼は俺の話を聞いてすべてを把握してしまっているらしい。流石は俺達の頭脳、実に頼りになる男だ。
「ルート、どうやら皆の反応を見るに俺は少し状況が読めていないみたいなんだ。また、任せて良いか?」
「うん、任せて。むしろ君が今の状況を理解していたら、偽物じゃないかと疑ってしまう所だ」
「よく分からんが、助かる。なぁ、ル-ト」
いつもこの男には助けられっぱなしだな。
「ありがとう、俺はお前なしで生きていける気がしないよルート」
「……ん? ああ、ありがとう。その言葉に他意はないんだよね?」
他意? 何を言っているんだろうかルートは。
「アアアアルト様。その、まさかアルト様の本命は……!?」
「その、アルト、率直に応えて欲しい。その、ルートのことをどう思ってる!? どんな印象なんだ!?」
汗をダラダラと垂らしながら、女性陣が俺に問う。
「そうだな、(男にしては)妙にセクシーな、(仲間として)大切な人かな」
「……アルト? ワザとじゃないんだよね? 君は僕を破滅させたいわけじゃないんだよね? 君の言葉の省略した部分は、僕は理解できるけどこの4人は……!!」
ブチッ。その時、何かが切れる音がした。
「アルトォォォ!! 僕の事を、取り合えず何でもいいから貶せ!! 良い、何を言ってもいいから早く!!」
「え、ええ? わ、分かった。ルート、随分と女っぽくなったよな最近」
「あああああ違うそうじゃない!! 皆落ち着いて、これはアルトが良くやる……ギャアアアア!!」
「少しルートを借りるぞ、アルト」
「水場? まさか抜け抜けとシャワー浴びていたんじゃないだろうな。アルトと二人で」
「レイと同じくらい質が悪い……。無害そうに装って、その実は誰よりも淫乱。男を弄ぶ生粋の遊女……」
おお。ルートが4人にズルズルと引きずられていく。ふむ、ちょうどいいか。予定通り、女性陣への対応は彼に任せよう。俺は早くフィオ達に合流しないと。
「たす、助けてアルトォォォ……」
……ん? 何か聞こえたような。
ルートの声に振り返ると、既に居間には誰も居なくなっていた。
一方その頃。
「……でさぁ? アルトがな、ぎゅーってしてくれたんだ! ぎゅーって!!」
「……そうか。良かったな」
「エクセレントデース!!」
巨乳パブ「ゼア・グロッセ・ブラスタ」のカウンターには、酔っ払いが一人、盛大に惚気ていて。
「アルトがさ、もう一刀両断にオークを切り倒してさ!」
「……そうか、良かったな」
「ビューティフォー!!」
その隣の席には満面の笑みの巨乳美女と、疲れ果てた目で機械の様に同意を繰り返す悪人面の男が居たそうな。
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