秋津は飛鳥の夢を見るのか?
サクラ堂本舗いまい あり 猫部(ΦωΦ)
戻りたくない場所 現代
全く関心がなかった時代。飛鳥の頃?
その時代に生きた様な体験をした。今流行りの異世界か?
いやあれは、ほぼ自分自身の様に思った。
前世の記憶だったのか?
あの旅行から戻って、難波宮の頃の歴史のを確認しようと思った。
とはいえ詳しい資料の調べ方すら分からなかった。
便利なネット社会ではあるが、調べたい内容がアバウト過ぎて
思う様に情報を得られない。
まず、あの時あの時代の誰とシンクロしたのか?
秋津には分からないことだらけだった。
そういえば志貴という少年が「コノカミ」と言っていたが…?
調べてみるとコノカミというのは年上の人を示す言葉の様だ。
名前ではないらしい。残念。
漠然とした情報の中で途方に暮れていたが、頭に残ったのが飛鳥時代。
その中で理由もなく気になった人物がいた。
「
彼の名前の前には「悲劇の皇子」とか「
多くのサイトでそう書かれているのだから、
それが史実だと受け入れられるはずなのに
俺の中では「何で悲劇って言われなきゃならないんだ?」とか
「嵌められたのは赤兄ではない!」と思っている。
まるっきり根拠はないのに、自分の心の底からそう思える。
この確信に満ちた感情は一体なんなんだろう…。
狂人のフリをしていたことも書かれていた。
それを見て「やはりバレてましたか?」と自嘲気味になる。
何故だ?
根拠もなく、理由のつかない感情があふれ出す。
一体これは何なんだろうか?
その夜、秋津は夢を見た。
難波宮に行った時に見た光景。
目の前にある低い丘を目指して歩いている。
自分の前に1人。後ろに2人。
このまま歩き丘の中腹あたりで後ろから蹴られて跪いて
後ろを振り向くと上から青龍刀の様な大きな刀が振り下ろされた。
そこで、夢は途切れた。
目が覚めて秋津は有間皇子の最期の地だと感じたので
実際に行って確認てみようと思った。
手がかりは膝まづぃた時に見えた石垣の壁。
それは俺のただの夢の産物なのか?
それが現地にあるのか?
その場所は和歌山県某市。
小高い丘は駅から徒歩で意外に近い場所にあった。
その場所を目指して歩きながら異様な感覚に囚われた。
1人で来るんじゃなかった…。
その場所が近づくごとに怖さが増していく。
実際にその時の様に前にも後ろにも人がいないはずなのに
怖くてたまらない。
丘を上がり神社へとたどり着いて秋津は固まった。
目の前に夢でみた石垣。周囲も夢で見た光景そのもの。
此処こそが背中を蹴られ膝まづき処刑された場所。
夢でみた光景が実際にあることに驚くしかなかった。
思わず「殺されたのは此処だ!」と叫びながら持っていた袋を投げつけていた。
有間皇子の墓はその少し上にあったが、その場所は処刑場所ではない。
大体、処刑じゃない。だまし討ちだ!と言いたくなるのはどうしてだ?
思い付きで出かけた確認作業は体力よりも精神的な疲れが酷かった。
秋津の言葉か、有間皇子が言わせたた言葉か…
不意に口からこぼれた。
もっと楽にいきたかったのになぁ…
秋津は先日体験したことが本当にあったことだと確信した。
シンクロした人物が分かったことで、何かの事件に片足を突っ込んだ様な気持ちになっていた。
もっと知りたい!と思って秋津は今日も夢を見る。
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