第35話

 帰宅中は両親ともずっと話していて、私もずっと話していた。悲しい話は全くなく、配慮してくれているんだとひしひしと感じた。


 最近あったことだったり帰ったら何を食べたいかだったり、 私の部屋をお姉ちゃんが掃除機をかけてくれていた話だったり。


 

 そんな話をしていたら、家に着いた。


 慣れていたはずの自宅の扉を開けるのも、かなり緊張した。止まっていた時が動くってこういう瞬間なんだなって。


 私は目を閉じてゆっくり息を整えた後、ゆっくり扉を開けた。

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