第14話

 再び病室の中で過ごす日々が戻ってきて数週間。最近妙に不安になることがある。


「記憶が、記憶がっ……!」

毎日何かしら大事な記憶がなくなっていくような気がして、でも何を失って忘れたのかがわからなくて、ただただ悲しくて……


 そんな悩みを家族になんて言えるわけない。ましてや家族に言えない話を華さんにも言えない。なら、看護師さんに話してみるしかないか。


 数時間後。巡回に来てくれた看護師さん(この前ノートを見られた人とは違う人)に相談してみた。


「あの、最近色々忘れてしまっている気がして……」

「まぁ!それは大変。お医者さんに相談してみるね!」

「ありがとうございます」

力強い言葉をもらえてちょっとだけ元気になれた気がする。

「とにかくまずは落ち着く。これ大事」

「そうですね。慌てても仕方ないですから」


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