第5話

 病室での日々ははっきり言って少し長くいれば自然にこの状態が自然、当たり前になる。朝起きる時間も早くなるし、病院で出るご飯にも慣れるし、ある程度の看護師さん、お医者さんの顔と名前を覚えてしまう。

 時々診察があって、検査がある。毎度ドキドキしながら受けていたはずなのに、いつのまにかそれもなくなった。


 ただ、私の置かれたこの状況をまだ飲み込めない人もいる。

 それは、お姉ちゃん。

 たまにお見舞いに来てくれるのはすごく嬉しいけど、私の顔を見るたび泣きそうになったり泣いちゃったりする。それをお母さんや看護師さんになだめられてやっと落ち着いてくれる。私はその時何も言わないようにしている。なぜなら、余計にお姉ちゃんの感情を助長してしまうから。

 結局、最終的には普段のお姉ちゃんに戻って楽しくお話しするのだけど、お姉ちゃんの涙を見ると、いつも胸が痛む。苦しくなる。

 だからこそ、ちょっと辛い時もお姉ちゃんには明るく振る舞う。


 お姉ちゃんといる時は、いつも楽しく笑顔でいたい。お姉ちゃんにも、楽しかったとか、思い出した時に思ってもらえるように。


 お姉ちゃんの記憶の中にいる私は、いつも笑顔で溢れていたい。

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