『たて! おとしより』

やましん(テンパー)

『たて! おとしより』

 『これは、フィクションである。』



 みらい、火星での話しです。



 若者がちっとも立ち上がらない。


 火星ジャッポン政府筋も、首をかしげくるくらいである。


 しかし、高齢者は、宇宙インフレによる、あまりの物価高でうめいていたのだが、実は、地球政府に対する、火星ジャッポン政府にも力がなかったのである。なんらかのジェスチャーが、必要だった。


 ついに、『全太陽系高齢者宇宙空間独立協議会』は、火星ジャッポン全高齢者にデモを呼び掛けた。


 ア=カーサカ野外競技場には、空中飛行艇などを使って、100万人のおとしよりが押し掛けた。


 キョトー駅南口公園には、同様に、50万人が集まった。


 フー・クオカ・スペースビルディングまえ広場にも、40万人がやって来た。


     😱😱😱



 『思いの外、たいへんなことになったな。』


 と、首相は、慌てて、各会場に大臣を派遣して、応援スピーチをさせたのである。


 しかし。


 デモは、始まらなかった。


 集まっただけで、みな、体力が尽きたのであった。


 なにしろ、あまり、食べてないからね。


 『やはり、正解でしたな。インフレで、事は成りましたな。』


 ア=カーサカ会場に、変装して密かに参加していた幹事長が、首相にささやいた。


 『うん。食べすぎは身体に悪いからね。集まっただけで成功だよ。』


 首相は、今年、97歳、幹事長は、89歳になる。


 もう、この仕事を、30年やっている。独裁であったが、成り手もなかった。


 元気である。


 実は、若き日を思い出して、歩く気満々だったのだが。


 任期は、とっくに、制度上は無くなっていたのである。


 しかし、若者は、動かなかった。 


 動くメリットが、なにもなかったからである。

 

 『戦争、しますか?』


 幹事長は小さく言った。

 

 第一次火星=地球戦争の始まりであった。



    😖😖😖





 


 

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『たて! おとしより』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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