第7章 黄泉がえりの神殿にて
第40話 陰謀説
「いい湯ねぇ・・・・」と、リゼティーナ。見渡せば、近くに住むと思われるカピバラまでもが湯に入ってきている。
ここは天然の温泉なのだ。
「最初からこっちに入っておけばよかったわ」と、セレス。
「そうね」と、リアンノンが笑う。
「リゼティーナ姉さん、今度柚子でも持って来ましょうよ!柚子風呂になるわ」と、たまに、前世のことからリゼティーナのことを「姉さん」と呼ぶセレスが言った。
「いいわねぇ、柚子風呂はきっと香りがいいでしょうね」と、リゼティーナ。
その頃、一目散にに出した男性陣は、それでも神殿に戻るわけにもいかず、(スマローコフに見つかる恐れがある)、4人で森の中で話し合いを続けていた。
「シルウェステルさんはどう思われますか」と、ハインミュラーが、兄のロイと一緒に話し合った、スマローコフ陰謀説を話して聞かせた。
「そうですね・・・ただ、まあ俺は入った事ないけど、長老の部屋掃除ぐらいなら、手伝った事ある人いるでしょ。その点、怪しい文書は見つからなかったようだし・・・まあ、本格的に調査しないとだめだろうが」と、シルウェステル。
「ただ、神々とのコンタクトは、全部長老に一任している状態。怪しいなら長老、というのは俺もハインミュラーさんに同意です」と、シルウェステル。
「ですよね」と、ハインミュラー。
4人で、「長老の部屋だ」という話になった。誰かが長老をひきつけているうちに、残りの誰かが長老の部屋を散策して、証拠を突きつければいいのだ。だが、長老はそもそも神殿を離れることが極端に少ないので、難しい。
その時、後ろでガサっという声がした。誰かが隠し聞きしていたのだ。
「誰だ!」と、シルウェステルが叫んだ。
「シルウェステルさん、そんなに大声だすと、温泉組の女性陣に見つかるおそれが・・・・」と、ハインミュラー。ロイが苦笑する。
アラミスとシルウェステルが、その音の正体の場所まで行き、あとを追った。
だが、残された足跡をたどってみたが、その足跡をたどったところ、なんと5人の巫女が入浴している温泉に突き当たった。
「な、なにぃ!?!??!」と、アラミス。
アラミスはかろうじて立ち止まったが、シルウェステルは、勢い余って、そのまま温泉に突っ込んでずぶぬれになってしまった。足跡は攪乱するためのフェイクだったのだ。
「キャー!!なんでシルウェステルさんが入ってくるのよぉ!!」と、ゼルフィーネが叫ぶ。
「す、すんません、もう出て行くんで!!」と言って、カピバラと目をあわせたのち、シルウェステルは温泉から逃げるようにして脱出し、アラミスとともに、ロイとハインミュラ―兄弟のところへ戻った。
「シルウェステルさん!!」と、ハインミュラー。
「どうも、あの足跡は魔法によるトラップだったようです」と、シルウェステル。
「風邪ひきますよ、早く神殿へ戻ろう、シルウェステルさん!それにしても、さっき覗いていたのは誰なんだ・・・?」と、ロイ。
「確かに気になるな」と、ハインミュラー。
男性陣4名は、全速力で神殿の方向へ戻った。すると、神殿の前で、バーナードがうろたえた顔をしていた。バーナードは、12使徒の中でも、比較的最近来た使徒の男性だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます