第30話 光の加護を授けん
「光の間?2階にあるのか??」と、アラミス。
「はい、大地の巫女が目覚める場所です」と、リアンノン。
神殿の奥深くに進み、石の窓から明かりが差し込む。
「リアンノンちゃん、その衣装、本物の巫女さんに見えるぜ」と、アラミスが言った。
「アラミスさん、私たち5人は、みんな本物の巫女ですよ」と、リアンノンが笑いながら言った。
やがて、リアンノンが、持参した白いチョークで、神殿の石造りの床に、丸い魔法陣を一つ描いた。
「さあ、そこに立って」と、リアンノン。
「なんだ??何をされるんだ?!?」と、笑って言いながら、アラミスが魔法陣の中心に立つ。
「私の加護。七勇士さんの一人への誓い。リアンノンの誓い。私の命はあなたと共にある。えにしよりつながりのある人の集まった七勇士に授けん、私の加護、光の加護をあなたに授けん」と、リアンノンが言って、目をつむり、手に持っていたロッドを頭上に掲げた。すると、光がロッドから放たれ、アラミスの体を包んだ。この木のロッドは、儀式のときにのみ、リアンノンが持参するものだ。お飾りのように見えて、何かといろいろ術をかけられるらしい、とアラミスは知っていた。
アラミスは2秒間ほど宙に少し浮かび、そしてすぐに地に落ちた。
「これが光の加護ぉ!?!?!」と、アラミス。
「そうです、アラミスさん」と、リアンノンが、ロッドを手に微笑む。
「私のこのカロンの首輪から力が出てくるのです」と、リアンノンが首輪にそっと手を置く。
(いや、それだけじゃねえ、確か前、弟であるシルウェステルから、リアンノンちゃん自身の力が、大地の巫女の素質があると、神々から見込まれたらしいと聞いたしな)
「ま、感謝するぜ、ありがとよ、リアンノンちゃん!」と言って、アラミスはリアンノンの頭を手でなでた。
「じゃな!俺、任務に行かねばならん」と言って、アラミスはその場から立ち去った。
その姿を階上から見おろし、リアンノンはそっと、「お気をつけて」とつぶやき、その場から離れた。
*
「遅かったな、兄さん」と、シルウェステルが兄のアラミスに言った。
「すまんすまん、シルウェステル。リアンノンちゃんを見つけるのに手間取ってな」
「こちらは、ゼルフィーネさんから、前世について詳しく話を聞いてたぜ」と、シルウェステル。
「!そうなのか、俺も聞きたかったな」と、アラミス。
「いつか、あなたにも話すときがくるでしょうよ」と、ゼルフィーネがアラミスに言って、優しく微笑んだ。
「そいつはどうも」と言って、アラミスもにこっとした。
「“やよやよ”」と、ゼルフィーネが呟いた。
「・・・は!?」と、、アラミスがきょとんとする。
「シルウェステルさんに教えてあげたの、私が大切にしてる言葉、なんだけどね。その頭文字をとると、やよやよ、という言葉になるのよ」と、ゼルフィーネ。
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