第9話
講義を受けに、マーヤの先導で進んでいく。って広すぎだろ。え?まだつかないの?そりゃ迷うわ。「今日は素直についてきてくれるんですね」振り返ったマーヤが呟くように言った。
クリスティーナってサボり魔だったのか。そしてマーヤほんとお疲れ様。
簡単についてきたのは迂闊だったかもしれない、が、今の私はあるかわからない断罪を避けるため優しい良い子のイメージを植え付けなければいけないのだ。ただの杞憂かもしれない。それならそれでいい。今はただ長生きするためにやれることをやるのみ。
やっとついたぁ。何キロ歩かせるんだよ。いや流石にそんな距離はないはずだけどね、たとえ貴族のお屋敷でも。
5歳児の体だからかな?それともさっきから薄々感じてたけど私ってちょっと太、ぽっちゃりさん?
「コンコンコン」ドアを3回ノックをすると中からどうぞ、という声が聞こえた。
みなさん知っていらして?ドアってノック2回はトイレでの存在確認のためなんですのよ!あ、知ってる人が多そう。高校受験での面接の練習で知ったときは衝撃だったなぁ。それまで、気づけばいいじゃんとか思って2回しかしないことが多かったから。そして、そういう常識はここでも同じみたい。
ドアを開けるとスラリと姿勢の良い女性がいた。
「クリスティーナ様、ご機嫌よう」えーと、クレア?様がスカートの裾を摘みながら片足を曲げ身を低くして挨拶をした。おお、これが本場?のカーテシーというやつか。隣のマーヤもやってるけど、これ私できるのか?
できるかじゃない、やるんだ、今ここで。
うっ、一瞬だったけど、ふくらはぎがつりそうだった。なんでそんなに背筋伸ばしてできるの。
これは5歳児だからとか関係無く前世の体でも厳しかったかもしれない。なんせ中高では文化部で自堕落な生活を送っていたからなぁ。高校の同じ部活入ってた同級生もあの歳でノーモーションぎっくり腰を発症していたしなぁ。あの子、私が死ぬ直前もコルセットつけてだけどもう治ったのかなぁ?
「カーテシーもだいぶ上達されましたね。私も喜ばしいです」ほんとぉ?いやぁ、そんなに褒めても何も出ないよぉ。
なんか久しぶりにこんな褒められた気がする。ほら私って褒められれば木にも登っちゃうから。この先生と私、相性いいかも。
ところで何を学ぶのかなぁ、異世界だからもしかして魔法の授業とか?伝説の勇者が活躍する歴史もいいなぁ。
「今日は作法の勉強しましょうか」・・さいですか。
「お嬢様、国王様と王妃様との面会も一年後に迫っています。今までの遅れを取り戻して行きましょう!」国王様と王妃様との面会?「二分の一聖哲式ですよ」あー、ねー、覚えてない・・
前世でいう二分の一成人式みたいなやつ?じゃあ6歳の2倍の12歳の時に聖哲式があるのかな?
・・クリスティーナの記憶力って結構ポンコツかも。
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