第7話

 一度あっさり聞き流しておいてなんだけど、私、5歳だったの。若っ。あやしまれないように気をつけたいけど、5歳児ってどんな感じだっけ?・・・覚えてるわけないか。

 5歳児っていうと某国民的アニメの嵐を定期的に呼ぶ愉快な仲間たちが頭をよぎるけど、あれは人間と言っていいのかも怪しいからなぁ。参考にできない。


 馬鹿と思われたくはない、けど、多少馬鹿っぽく演じなければ神童と持ち上げられかねないしなぁ。でもそれも悪くない、よな。いやだめだ、私が16歳になったら、それ以降はただの凡人でしかないんだから。落ちぶれた神童と呼ばれるくらいなら初めから凡人がいい。

 

 それよりも今後どうするかだ。もし前世の記憶のことは知られたら・・・どうなるんだろう。それこそとち狂ったとでも陰で噂されるようになるのかな。いやだ。絶対このことは知られないようにしなきゃ。

 そういえば前世では断罪される悪役令嬢が転生する話が流行ってだよなぁ。悪役令嬢・・・私はややつり目ですこぉしきつめの顔立ちにかすんだ銀髪の軽めの縦ロール、ん?縦ロールじゃん!いや、まだ決まったわけじゃないからぁ、髪型なんてどうとでもなるからぁ。この髪型、確かお母様のお気に入りだったけど!いつかは説得して変えてやるんだから!お母様!縦ロール以外にも可愛い髪型はたくさんありますのよ!

 そうだ。私、母親のことお母様って呼んでたんだ。一般庶民の前世からは想像もつかないけど。じゃあ父親はお父様?少しずつだけど前よりもクリスティーナとしての記憶がはっきりしてきた。

 

 それにしても、断罪かぁ。一家没落とかが定番だけど、偶に悪役令嬢が死ぬ、なんてこともあるからなぁ。

 せっかく前世を思い出したんだ。死んでたまるかってんだ。今のうちから優しい良い子ってイメージを周囲に植え付けるべきだよね。守ってもらうためにも。


 よし、まずは悪い寝相&寝起きを直さなければ。 

 茨の道だあ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る