にくべと

にくべと【肉土、肉泥】

 不死の肉塊。切っても刺しても血は流れず、たちどころに傷は癒える。『画図百鬼夜行』や『百怪図巻』に見られる〝ぬっぺほふ〟に似るが手足はない。

 ナメクジのように這って移動し、土の中にもぐって眠るとされる。翠良尾瀬にはいくつか入らずの森という禁足地が存在し、にくべとは通常それらの森に隠れる。

 出会った時は〝ねめしどな〟という呪術で退散させられるが、詳細は不明。

(雪見野仁著『翠良みすら尾瀬おぜ村民俗誌』)



【身喰土、人喫床】


「ついぐなの儀」に失敗した者が至る、なれの果て。土中で胎児をはらむが、子袋から中身が出るには何百年もかかる。

 胎児を喰い、産み、喰い、産みをくり返して、ついに袋からいずる似非人魚。


 不定形の肉塊で、切っても刺してもたちまち傷が治る。

 普段は樹海にひそんでいる。死ぬためには人魚を食らう他なく、ついぐなの儀によって人魚が目覚めると、樹海を出て村を徘徊する。


 にくべとは自分の血縁者に執着し、守ろうとするため、にくべとは基本的に人魚の血筋を襲わない。そうして百年ほど経つとにくべとは似非人魚となり、人魚の血筋の「守り神」と化した。


「誕生」が目的のため、人間が近づくと記憶という形でその人が生きてきた時間を奪い取ってしまう。


 なお本編で鴉紋に夢を見せた能力はではなく、みすらのちょっかい。八津次と直郎が見たものは、彼ら自身の記憶をが利用したもの。

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