がんかじ

がんかじ【願果寺】

 かつて翠良みすら尾瀬おぜ願施がぜざきに存在した寺の名。香木で作られた仏像が祀られていたが、現在は住職の末裔であるG家が保存。

 願掛けに参拝すると、「がんかじ行」なるものを課せられる。これを行うものは他者の痛みが分かるようになり、神仏から多数の試練を受けるとされた。


(雪見野仁 1978年著『翠良尾瀬村民俗誌』より)



⑱がんかじり

 おぶつだんや、んだひとがはいったカンオケをかじる、とてもバチあたりな妖怪ようかい。ときどききているひともかじってしまう。かまれると、すごくいたい。

 がんかじりにあったら、「くふいらく、らふいく、くそくぜらく、らくそくぜく、かじるもかまるも、おなじこと」と呪文じゅもんをとなえておいはらおう!


(小村谷瑞薬 1974年著『多摩こども妖怪図鑑』より)



「親友がもたらした最悪の呪詛」

 悪意をもって睨みつけることで相手を呪う邪視(evil eye)は、世界中で知られている伝承だ。今回は近畿地方に伝わる呪詛、〝眼神呪がんかじ〟をご紹介しよう。

 心の中で三回呪文を唱えて、ありったけの憎しみで相手を睨みつければ、数日で対象は発狂。最後は周囲を無差別に攻撃するか、自殺するかのどちらかか、というとてもパワフルな呪いです。もちろん、使った側もタダでは済まないようですが。

 残念ながら、危険すぎてその呪文は隠され、正確な伝承は残っていません。

 現在伝わっている呪文は以下の通り。

衆生しゅじょう無辺むへん誓願せいがん一切いっさい衆生しゅじょう悉有しつう仏性ぶっしょう草木そうもく国土こくど悉皆しっかい成仏じょうぶつゆえにがんかじ勤行ごんぎょうす。苦不くふ異楽いらく楽不異苦らふいく苦即くそく是楽ぜらく楽即らくそく是苦ぜく満願まんがん成就じょうじゅ聞き届けたり」

 何やら仏教的な内容ですね。実際に、友人がこれを掛けられたという体験者の盛保もりやす一郎いちろうさん(仮名・24歳)は(中略)


(監修:都市伝説ガールズ 2014年『本当にあった「呪い」の怖い話』)



がんかじり【龕齧】

 龕とは仏像をおさめる厨子ずし、仏壇のこと。または遺体を納める棺である。死体を食い荒らす妖怪であるとされるが、しばしば生きている人間も襲った。

 がんかじりに取り憑かれると、常に全身を耐えがたい痛みが走り、死に至ると初めて噛まれた傷口があらわになったと言う。


(Amebaブログ『京都妖怪探訪』@神島の旧願果寺 2014-04-16 より抜粋)



願施崎がぜざき家――【願噛、願加持、願神呪、龕齧】


「がんかじは、願施崎の祠に参ることで出現する異常存在です。出現後は願いをかけた者に取り憑き、満願成就まで『行』と称する苦しみに耐えるようささやきます。


 その内容は、一定範囲内に存在する他者の痛覚を、取り憑かれた対象が一方的に共有させられる、というものです。この時、昆虫、魚類、鳥類、およびにくべとは人体からかけ離れているため痛覚共有(共鳴)の対象にふくまれません。


 人間の他、犬、猫、猿などの哺乳類が対象に含まれます。したがって、当初の対象者は人の多い場所を避け、以前どれほど攻撃的な個体であっても、他者への攻撃を避けようとします。痛覚の共鳴はあくまで痛みだけを引き受けるため、例えば脳震盪などは打った箇所の痛みを感じることはあっても、意識が飛ぶことはありません。


 また、麻酔を受けている、意識がないなどの理由で苦痛を感じていない他者の痛みは感知しません。


 この『がんかじ行』は時間と共に変質し、対象者は他者のものにせよ自己のものにせよ、苦痛を感じると徐々に快楽を覚えるようになります。

 最初は苦痛の後に快楽がわき出ますが、やがて苦痛と同時に発生します。

 この快楽は強い依存性を持ち、対象者のほとんどは快楽を得るため他者を傷つけ、やがて殺人鬼と化すか、自傷によって死に至ります。


 それ以外の場合は、神経を病んだ末の衰弱死でした。」

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