第36話  隠された宝物

美鈴彩が神社の清掃をしていたある晴れた朝、彼女は境内の古い部分でひそかに埋もれていた石碑を発見した。石碑には古い文字が彫られており、それは何世紀にもわたって風化していたが、まだ読み取れる部分があった。彩は興味を持って碑文を解読し始め、それが神社の創建者によって隠された宝物の手がかりであることを突き止めた。


碑文には、「真の信者の手によってのみ光を浴びる」と記されており、彩はこれが何らかの試練を意味すると感じた。彼女は碑文の指示に従い、神社の特定の場所で特定の時刻に祈りを捧げることに決めた。


その日の夕暮れ、彩が碑文に従って祈りを捧げていると、地面がわずかに震え、隠された扉が現れた。扉を開けると、そこには古代の神聖な遺物が保管されている小さな部屋があった。部屋の中心には、光り輝く小さな箱が置かれており、彩が近づくと箱が自然と開いた。


中から出てきたのは、美しく輝くアミュレットで、それは神社の守護神がかつて用いたとされるものだった。アミュレットからは穏やかな力が感じられ、彩はこれが神社を守るための重要な鍵であることを直感した。


彩はアミュレットを大切に手に取り、その場で深く感謝の祈りを捧げた。この発見は、彼女にとってただの宝物以上の意味を持っていた。それは神社の歴史と彼女自身の使命を深くつなぐものであり、彩はこのアミュレットを用いて、さらに神社の平和を守る決意を新たにした。


夜が深まるにつれて、彩は石碑の前で再び祈りを捧げ、神社の創建者とその遺志に敬意を表した。この日の出来事は彩の心に深く刻まれ、彼女の守護者としての役割に新たな章が加わった。これからも、彼女はこのアミュレットを持って、どんな困難も乗り越えていく自信を持っていた。

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