第6話 宇宙怪人ハムスター命を削って働く

 おれとハムスター達は父さんに呼び出された。

「父さん話しってなに?」

「ユーキハムスター達を連れて自動車工場で期間工として働きなさい!」

 おれはびっくりした。父さんはさらに続ける。

「ハムスター達は働かないのに食い過ぎだ。期間工がやりたくないのだったら家を出て行ってもらう!ハムケン君は働いているので居てもいい」

 おれ達に拒否権はないようだ。

 おれとハムケン以外ハムスター達は自動車工場で働く事になった、父さんが話しをつけてくれてるので面接は受かった。おれ達はやっていけるだろうか?





 そして期間工、一日目がやってきた。おれ達は組み立てラインで働く事になった。仕事の内容は頭上を流れる自動車の原型にボルトを締めていく仕事だ。仕事の内容はこれだけだが、これが意外と難しい。マニュアル通りにしないとちゃんと締まらない、ちゃんと締まないと正社員の人を呼んで直してもらわないといけない。しかも車は次々やってくるから、次々やっていかないといけない。

 しばらくして休み時間がやってきた。おれは思わず座り込む。

 ハムスター達も座り込んでいるみたいだ。

「これ五時までやるっすか?きついっすよ……」

「俺、体力には自信あったぞ!それでもきついぞ……」

「僕もきついんじゃ!もう働きたくないんじゃ!」

「なんでこんなきつい事しなくちゃいけないッチ……」

 文句も言いつつも、なんとか一日目が終わった。寮へ帰っている途中ハムケンが居た。一体なぜ?

「ハムケンどうしたの?家に居るんじゃないの?」

 実家と自動車工場は違う県だ。普通会う事はないはずだが……

「寂しくてきちゃったんよ。工場の近くのコンビニで働くけん!」

 きちゃったのなら仕方ない。自動車工場の寮にこっそりハムケンも暮らす事にした。

「そうや、ユーキみんなが倒れたらこのハムビタンZ飲ますといいんよ〜飲むとすごく元気なるけん!あとから疲れくるけどねー」

 おれはハムケンからハムビタンZという飲み物を貰った、これを使わなければいいのだが……




 寮の部屋は大部屋を貸してくれた。おれとハムスター達が過ごすには十分だ。

 ハムスター達は疲れているようだ。寝たままピクリとも動かない。おれはハムスター達の変化に気づいた

「みんな毛並み悪くなってない?」

 宇宙怪人ハムスターの毛並みはふさふさだ。その毛並みに変化があったような気がする。この疑問にはハムケンが答えてくれた。

「宇宙怪人ハムスターは辛い事があると毛並みが悪くなるんよ」

 毛並みはこれからどうなってしまうんだ……




 父さんは一月働いたら家に戻ってもいいと言っていた。なんとか一月頑張らないと!

 一週間経ったぐらいだった、コタローに異変があった。

「指が痛いっすー!」

 ボルトを締めるには機械を使う。指を痛めるのは珍しい事じゃないらしい。揉んでほぐしてなんとか仕事は出来た。

 二週間経った。今度はハムッチに異変があった。

「辛いッチ……」

 普段はおしゃべりのハムッチがほとんどしゃべらなくなってしまったのだ。でも仕事は頑張っているようだ。

 三週間経ったハムニブとハムタクにも異変が起こる。

「もう無理ぞ……」

「しんどすぎじゃ!」

 体力に自信がある二人も限界のようだった。短い休み時間も寝て過ごすようになった。

 ハムスター達の毛並みは日に日に悪くなっていった、ふさふさのハムケンと比べれば一目瞭然だ。四人のハムスター達はボサボサになっていった。仕事辞めたら毛並みが戻ったらいいけど大丈夫か!?





 そして最後の一週間がやってきた。コタロー、ハムニブ、ハムタク、ハムッチは仕事が始まる前から、ダウン寸前の顔をしている。毛並みもボサボサだ。

 そして仕事が始まった、ハムスター達は必死に体を動かしている。なんとか午前中は乗り切った。しかし午後の仕事が始まってすぐの事だった。

「もう無理ッチ……」

 ハムッチが倒れた!おれは直ぐに助けに行った。ハムッチは再起不能の顔をしていた。そうだ!

「ハムッチこれ飲め!」

 おれはハムケンから貰ったハムビタンZを飲ました。すると……

「元気みなぎるッチ!!!働くッチ!!!」

 すぐ元気になった。良かった。

 その後、ハムタクも倒れた!!おれはハムビタンZを飲ます。

「うおおお!!!働くんじゃ!!!!」

 ハムニブ、コタローも倒れので飲ます。

「よっしゃー!!!!いけるぞー!!!!」

「指の痛みも忘れたっす!!!!まだまだやれるっす!!!」

 元気になったようだ。しかしハムビタンZやばくね……これやばい薬じゃないのか?

 おれとハムスター達は一日の仕事を乗り切った。ハムスター達は寮に着いた途端寝てしまった。あと四日乗り切るにはハムビタンZが必要だ。ハムケンに貰わないと。

「ハムビタンZ高いんよ。一本1000円やけん!」

 お金を要求された……しかし必要なので買う事にした。





 ハムスター達は一日一本のペースでハムビタンZを必要とした。ハムッチは二本飲む日もあった。そしてなんとか残り四日を乗り切った。痛い出費もあった、ハムビタンZ代結構かかったぞ!しかし給料は月末に振り込まれる。家を追い出されなくて良かった。給料が入ったらみんなで美味しい物食べに行くぞ!

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