第5話 破壊の限りを尽くしてみた

とりあえずふらふらと廊下を歩きつつ、見つけた部屋の扉を壊していく。今のところ台所とか、ダイニングとかしか見つけられていない。できれば書斎に行きたいんだけど………っ!?なななななにこれ。めっちゃ怖い。恐怖でいっぱいになる。何この感覚?動けない。体が震える。見たくないけど、見なきゃ。見つけなきゃ。この恐怖の原因を。周りをキョロキョロと見てみると、動いている骸骨を見つけた。モンスター………。いるんだ。気持ち悪い。人間だった時からずっと骸骨を見るのは苦手だった。イラストだったとしても。そんな人間、もとい人形が動く骸骨を見て、具合悪くなって当たり前だ。執事のような服を着ているため、体の骨が見えないだけまだマシか。大丈夫、あっちはまだこっちに気づいてない。台所の中にいて良かった。触れば呪いで破壊できるのだろうか。そもそもあれに能力は効くのか?破壊できたとして、破壊までどれくらいの間触れなければいけないのだろうか。とりあえず、包丁とかナイフを用意して、能力が効かなかった時の事を考えておこう。一応包丁は持てたし。だんだん近づいてくる。あれが近づけば近づくほど、体が強ばる。間違いない。あれが私が恐怖する対象だ。殺す。私は高校生だった。今は異世界にいて、呪人形だ。呪人形は、ここではどうなのか知らないけど、きっと人を呪い殺すために作られる。私は私であるために、私を恐怖させる相手は全て殺す。今決めた。

カシャンカシャン

今っ!

「ゔあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ」

痛がってる?暴れる。でも絶対に離さない。ごめんなさい、あなたは悪くない。あなたはただここにいただけ。現にこっちに殴ったりしてこないし。でも、私を恐怖させた。だから、殺す。

「ゔあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」

粉々に砕け散った。

ドサッ

いったぁ………。まぁそりゃそうか、推定1mくらいから落ちたわけだし。………。戦いに勝った。殺した、多分。こうしなきゃ生きていけないんだ。骸骨だから元々死んでいたのかもしれない。だけど、もう一度死を与えたのは私だ。どうか安らかに。そう願って、私はその場を離れた。この世界では、命が軽いのかもしれない。ラノベとかだとそうだったし。でも、命を軽く見たら、私は人間でいれない。人を殺すためにために作られた存在だとしても。私は、私でありたい。人間の「夜宮樹莉」でいたい。そんな気持ちを持って私は書斎を探しに進んだ。




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