クラス転生で呪人形になっちゃった……
暗月 悠愁
第1話Prolog
私の名前は夜宮樹莉。ピチピチの高校2年生。今は野外活動中☆
バス、嫌いなんだよね。すごい今酔ってる………。吐きそ。あ〜これヤバいやつっぽいな、なんか白い光が見える………。
「ん………。」
ここは、どこだろうか。際限なく広がる白い世界。そして制服姿でその場所にいる、私たち総勢40名。
「ここはどこだよっ!?」
「知らねぇよ。俺たちはただバスに乗っていただけのはず。」
「お目覚めのようですね。」
お〜、なんか、女神っぽい人出てきた。神々しいってこんな感じなんだろうな。
「貴方たちには、異世界に転生していただき、世界を救っていただきます。」
「はぁ?急に言われてはいそうですかとはならねぇよ!舐めてんのかよ!?」
「申し訳ないのですが、決定事項なのです。貴方たちの乗っていたバスは、崖に転落し、クラスの生徒40名のみが死亡しました。しかし、あなた達はまだまだ生きれたはず。その残っている寿命の全てを生きるために、異世界へ転生していただきます。」
「……元の世界に戻れないのかしら?」
「残念ですが………戻ることは出来ません。貴方たちが持っている寿命を使い切らなければ、生まれ変わりは行えないのです。」
「そう、ですか。」
「その代わり、と言ってはなんですが、各自性格にあった特殊な力を手に入れています。その力を使って、邪神【ラグナロク】を消滅させてください。そうすることで、貴方たちが今から行く世界が救われ、私への信仰が深まります。」
「結局、アンタの人気集めってこと?」
「いいえ、私への信仰が深まれば深まるほど、私の力は強まります。私の力が強まれば、貴方たちを早く、生まれ変わりへ導けるかもしれません。」
「……ここで俺らがNOと言おうが、転生は確定なんだろ?じゃあ、さっさと転生して少しでもあっちの世界に慣れる時間を増やした方が良いんじゃねぇの?」
「物分りの良い方がいて助かります。詳しく説明致します。種族などは、変化する可能性があります。」
「どういうことだよ。」
「エルフやドワーフ、獣人になる可能性があるということです。決まり方は、皆さんの性格や周りからの印象ですね。そして、ステータス表示が行えるようになっています。行えるのはみなさんだけ。そして、相手のステータスを除くことは、お互いできません。」
「ゲームみたいな表示があるってこと?」
「その通りです。皆さんがあちらの世界に馴染みやすいようにこちらからの救済措置のようなものです。HPやMPなども確認できます。他に質問は?」
「生まれる場所は、みんな同じですか?」
「いいえ、完全にランダムです。しかし、同じ国内に生まれていることは確かですので、あまり心配なさらなくて大丈夫です。他に質問は?」
「……ないようですね。それでは転生開始でよろしいですね。」
無言で頷く。そうするしか、方法はないから。
「それでは、行ってらっしゃいませ。」
よく寝ていたような気がする。……動けない。正確には、身体が死ぬほど重い。赤ちゃんに生まれ変わるって意味の転生なら、動けないのはず。なのに、身体が死ぬほど重いだけで、動こうと思えば動けてしまう。自分の身体を見てみると、人形になっていた。
「!?」
ついでに喋れないオプション付き。最悪だ。私の性格とか周りからの印象どうなってたんだよ。とりあえず、ステータスとやらを見てみるか。
ステータス
名前なし(夜宮樹莉)
種族のろい人形Lv1
能力呪いLv1・読書・言語文化
称号なし
最悪だ、考えうる限り最悪な状態だ。呪人形ってなによ!?呪いLv1ってどんな力よ?お、解説ある。
呪いLv1
何かを代償に相手を呪うことができる。相手にどれほどの呪いをかけるかによるが、だいたい同じくらいの代償を払わなければならない。
使いもんにならねえ。次。
読書
読んだ魔導書に書かれた魔法を習得できる。ただし習得するにはその本の内容を暗記するほど読まなければならない。
呪いLv1に比べたらマシ程度じゃん。本を読むことにあまり抵抗あるタイプじゃなくて良かった。初めて、読書家であることに感謝したわ。とりあえず、この場所から動いて図書館見つけなきゃ。大分廃墟感すごいけど、部屋は大きいからね、もしかしたら、いくつか魔導書とかいう異世界感たっぷりの本が読めるかも。言語文化は、まぁ、見なくていっか。多分異世界語の翻訳とかしてくれるんでしょ。
そう思いながら重い身体を芋虫のようにくねらせつつ進んで行った。
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