ほぼ終わったけど終わらない

 公募原稿、初稿がほぼ終わりました。

 一時は明日~明後日くらいまでかかるかなと思っていたのですが、今朝早起きに成功しまして、夜が明けるまでの間に大きな進捗が出せました。8場面中、場面7までが朝のうちに終わりまして、締めの場面8だけが残っています。エピローグ的な部分なので、そんなに長くはならないはず。たぶんあと1000~2000字くらい。

 文量的には現在約2万字、規定20~40枚に対して28枚(※400字詰原稿用紙換算ではなく独自フォーマット)と、いまのところ良い感じに着地しています。


 とはいえ、まだまったく終わってはいないのですが。

 書いた部分の通読すら、現状まだできません。

 ……というのも自分、書くペースが加速してくると「めんどくさそうな描写をすっ飛ばして後回しにする」ことが多々ありまして。今回の原稿も、飛ばした部分がたくさんあります。

 具体的には今の原稿、こんな感じになっております。


 ---------------

 シュテルツェは、胸の前で手を組み瞑目した。頭を垂れて短い祈りを捧げていると、穏やかな旋律を伴った声が聞こえてきた。


%%小声の歌描写


 目を開くとアンが歌っていた。シュテルツェとは違う形に手を組み、うつむき気味に、小さな声で歌っていた。

 やがて歌を終えたアンは、シュテルツェの視線に気付いて首を傾げた。

「『鎮魂の歌』、そんなに珍しかった?」

 無言で何度も頷く。

 歌なら知っている。里では日がな一日、男も女も歌っている。それぞれの鳥の民が、異なる声で、異なる節回しで、賑やかに鳴き交わしている。

 けれどそれらは鳴き声だった。いまアンが口にした「旋律のついた言葉」は、初めて聞くものだった。音の高低を伴った人語を、それらを紡ぐ声を、シュテルツェは美しいと感じた。人の声を、はじめて、美しいと思った。

 アンは、なおも不思議そうに見つめてくる。シュテルツェは思い切って頼んでみた。

「いまの、私も歌ってみたい」

「シュテルツェ、ゆっくりしてていいの?」

「……ちょっとだけ、なら」

 アンがしぶしぶ歌いだした。

 小声で紡がれる言葉を覚え、音の高低を聞き取る。

 やがてアンが歌い終えたと同時に、シュテルツェは声を発した。言葉と旋律とを、聞いた通りに繰り返す。はじめは節のついた語りだったものが、やがて高らかな歌声となり、鳥のさえずりを思わせる美しい音色が辺りを包んだ。


%%初めての歌の感慨


 歌い終えてアンを見ると、白い頬がほのかに赤く染まっていた。熱く潤んだ青い瞳が、興奮気味にシュテルツェを見つめている。

「すごい。歌うまいんだね、シュテルツェ」

「えっ?」

 ---------------


 %%で始まっているのが後回し部分です。

 初稿完成後、「%%」を全文検索して置き換えていきます。


 もともとは二次創作時代、締切に追われて切羽詰まっている時に始めたやり方なのですが、「ノッている時の勢いが死なない」「全体を見通せている状態で描写を入れるので、何を書けばいいか明確化しやすい」「文字数が上限または下限ギリギリの場合、描写量で文字数調整ができる」など、利点が色々あって重宝しています。


 数えてみたところ、現状の原稿には「%%」部分が全部で23箇所ありました。多い。

 できれば明日のうちに埋めきって、ひとまず通読をできるようにして、締切当日の土曜は丸々ブラッシュアップにあてたいですね……。


 泣いても笑ってもあと2日。がんばります。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る