第6話 文披31題 Day26 深夜二時
「オリンピックの開会式って何時から?」
いつも見ている夕方のニュース番組。それを見てふと疑問になったので、
「深夜2時半から」
「そっか。それじゃあ見れないや」
深夜2時。その時間、私は大抵寝ている。
そんな寝ている時間の開会式。それは絶対に見ることができない。
「録画しとくからさ、来週見たらいいよ」
「ありがと。そうする」
オリンピックの開会式がかなり気になるってわけでもない。だけどスポーツに興味があるわけじゃない私が楽しめるのは開会式と閉会式くらいだけだから、見てみたいなって思うだけ。
「オリンピック期間中はオリンピックの放送が多いから、ニュース番組も減るんだろうな。それでニュース番組のファンが悲しみそう」
「そうだね」
夕方のニュース番組は、ただニュースを伝えるだけじゃない。娯楽性がちゃんとあるので、そこが好きな人もいるだろう。そういう人にとっては、オリンピックの放送なんていらないはずだ。
「なんでオリンピックの放送なんてするんだろうね? だって他人がスポーツで頑張っているだけだよ。この世の大半の人にとって関係ないことじゃない」
「それが関係ないってことじゃないのが現代社会だからね。もみじはオリンピックに興味ない?」
「あるわけないよ。だって私には関係ないもの」
答えてから、中華丼を口に運ぶ。
今日の夕ご飯は豚汁と中華丼だった。どっちもシンプルながらおいしいし、和と中華で喧嘩もしていない。
「べにははオリンピックとパラリンピックが嫌いらしいけど、もみじは興味がないんだね。2人ともオリンピックが好きじゃないんだ」
夕占さんは少し首をかしげてから、食事へ戻る。どうやらオリンピックに対して良い感情を持っていない、私とべにはの考えが理解できないらしい。
「へーそれじゃあべにははオリンピック見ないんだ」
「そりゃべにははオリンピック見ないでしょ。仕事があるから夜更かしないし、そもそもオリンピック嫌いだし」
「じゃあ夕占さんはどうするの?」
「せっかくのオリンピックだし、見るよ。私は朝早く起きなくても良いからさ、深夜2時でも起きていられる」
「へーそうなんだ」
ぶっちゃけどうでもいい話だ。
私はほとんどの時間を寝ていて、オリンピックは見れない。そのうえオリンピックに興味がないので、見たいとも思わない。
「周りも盛り上がっているし、オリンピックって特別だし、見たいんだよ」
「オリンピックなんてメディアが特別にしているだけ。大した価値ないよ。それよりも私は夕方のニュース番組の方が大事だよ。毎週頑張ってニュースや情報を提供しているんだから。そのニュース番組よりもオリンピックの方が大事なんてあり得ない」
「なんかもみじ、べにはが言いそうなことを言ってる?」
夕占さんはドン引いたような顔で見る。
「そうかな?」
そんなつもりはまったくないのだけど。夕占さんにはそう見えちゃうのかな? 私には分からないや。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。