廃トンネルの殺人

夢原幻作

第1話 ホラー配信


 ――にあるトンネル内で、昔、殺人事件があったらしい。


 被害者は若い女性で、男3人組に、なぶり殺しにされたらしい。それはそれは、とても凄惨なものだったとか。


「若い女なら誰でもよかったとかで、かなりやばい行為をされた上で、殺されたと聞いてるぜ」



 そんな現場に今…まさに足を踏み入れてるのが、この俺。


 真っ暗闇の夜に、スマホで絶賛撮影中だった。



 いやー、いかにも幽霊とか出そうな場所じゃん? こういう場所を動画配信してたら、視聴者数も増えそうだよなー。なんちゃって。




『人気配信者の…木村和馬きむらかずまさん! 応援してます! ってか好きです♪』


「へへへ…」


 自分の名前を呼んでくれる&告白する女性ファンを、俺は妄想する。そんな人間がたくさん現れるぐらい、配信者として人気になれたらいいなあー! なんてな。



 そうして俺は… トンネルの奥へと進んでいく。


 ここは、いわゆる廃トンネルってやつで、すでに人道としては使われてない。ゆえに古ぼけてるというか、老朽化が進んでるようだ。


 だからか、異様な雰囲気が出ていた。


「見てください皆さん! まさにホラースポットってやつですよ!」


 俺はリアルタイムで見てくれている視聴者に、そう言葉を投げかける。



 …うおおー! 視聴者数が、みるみるうちに増えていく!

正解だったな。ホラースポットに来たのは。話題性もかっさらいそうだぜ。



 っと、そろそろたどり着くか。 トンネル出入り口から…40メートル離れた…

このへんが…確か殺人現場だったはずだ。女性が殺されたとされる場所。


 ふふ、動画配信も映えるねぇ。




 ?


 ふと、何かの気配を感じて、俺は後ろを振り返る。

そこには、白い服を着た女性…? の姿が。



 ……いつのまに……?



 前髪は長く、顔はよく見えない。


 …幽霊? いや、そんなわけないよな。肝試しにきたけど、トンネル内に迷い込んでしまった女の子?



 だとしたら、チャンスだと思った。仲良くなれたら、お近づきになれるかも。あわよくば、彼女に…


「おーい! キミ…!」


 ―――――――――――――――


『ニュースをお伝えします。


 昨夜未明、――にあるトンネル内で、男性の遺体が発見されました。被害者は都内在住で配信業を営む、木村和馬さん。26歳。警察の発表によりますと、背中を鋭利な……刃物のようなもので刺されていたとのことで、警察は殺人事件として捜査を開始しています』



「嘘だろ…?」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る