第15話

 ふ〜朝からこんなにしっかり食べたのはいつ以来だろう。シンプルながらもその味は大変好みに近い味だった。


「お粗末様でした、はいこちらお茶になります。いかがでしたか?」


「凄い美味しかったよ。朝からこんなに贅沢しちゃってよかったのかな?」


「ただの朝ごはんですよ〜、こんなんで贅沢と思ってもらったら困ります。お茶を飲んで落ち着いたらそぼろちゃんの力を確かめましょうか」


 そのそぼろはというと、管狐の先輩であるくーちゃんからなにか教わっているのかくーちゃんが何かを伝えると頷くを繰り返している。


「ははっくーちゃんが先生してるなんて凄い光景ですね。まさかこんな光景を見るなんて思いもしませんでした」


「そぼろもしっかり聞いて何かはわからないが学んでいるみたいだね」


 コッコ〜ンと、静かに鳴きながらこちらにすり寄ってきて額を合わせてくるとそぼろの体が徐々に光りだしてそれは目を開けられないほどの輝きになっていく。


 輝きが収まりゆっくり目を開けるとそこにはなんと管狐のそぼろがいなくなり、代わりに裸の俺がそこにいた。


 そこにいた裸の俺はコンッと一鳴きして首をかしげる。


「おっお前はもしかしてそぼろなのか?ってなんで俺の姿で裸なんだよ」


 コ〜ンと不思議そうな顔で俺が俺を見つめている。


「はわわっ裕二さんが2人います。しっしかも裸でなんて」


 稲荷ちゃんは、恥ずかしそうにしながら目を両手で隠すがわずかな隙間が開いておりその視線はなぜか下半身に向いていた。いや、本物の俺ではなくてそぼろなんだがそんなに見られると恥ずかしい。


 俺は、少々呆けてしまったがすぐに服を用意して着替えさせる。


 ふーこれでひと安心だ。さすがに裸のままいられたら困るからな、それにしてもまさかそぼろが俺に変身するとは驚きだ。これがそぼろの力なのか?


「こんな見事に変化するとは凄いですね、額を当てた時になにかしたんでしょうかね?」


 俺は、そぼろと向き合い問いかけることにした。


「この変化がそぼろの力なのか?わかることがあれば教えてくれ」


 そぼろはこちらを見つめ何かを伝えようとしてくるのが伝わってくる。


「大丈夫ですよ、そぼろとの繋がりを感じてください。必ずその想いは通じ合いますから」


 そぼろとの繋がりに意識を集中して目をつぶると頭の中になにかわからないが声らしきものがどんどん響いてくる


「あ…じ、あるじ主ーやったー主に伝わったよー。そぼろねそぼろはね」


 お〜テンション高いなー、そぼろがこんな感じだとくーちゃんはどんな感じなんだろう。めっちゃ気になるな、稲荷ちゃんに後でどんな感じか聞いてみよう。


 どうやらそぼろの話では、対象の記憶を読むことで姿を真似ることが出来るらしいがそれは本来の力の一部であり本来の力はもっと凄い能力があるみたいだがまだ自分でも把握しきれてないとのことだそうだ。


 しかし力の一部とはいえここまでおれに化けることが出来るとは凄いな。本来の力を扱えれるようにそぼろと頑張っていこう。




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