第21話021「のじゃロリ」
俺は今、池袋駅を降り『
今日、登録証を受け取れば俺は晴れて『F級
「洋子さんと会うのも今日で最後か〜。少し寂しいな」
そんな物思いに耽っているとあっという間に目的地に到着した。
今では見慣れてる豪華エントランスを通り抜け、中へとテクテク足を運ぶ。すると、ちょうど美人受付嬢の洋子さんを発見。
「洋子さ〜ん!」
ちなみに「洋子さん」と下の名前呼びしているのは洋子さんから「私のことは下の名前で呼ぶように!」と半ば強制的に命令されたので今に至る。まあ、別にそれくらいで動じる俺では⋯⋯あああありがとうございまぁぁすっ!!
「あ、タケル君。待ってたわよー!」
「え? 待ってた?」
「えっ!? あ、あははは⋯⋯ご、ごめん、ごめん。別の人と間違えちゃった〜」
と、洋子さんがペコペコ平謝りする。うむ、ちゃんと可愛い。
「それで今日なんですが⋯⋯」
「ええ、F級
「ありがとうございます!」
その後、俺は
「こっちよ」
そう言って、洋子さんが先導して授与式の会場まで案内してくれた。
タケルは洋子の後ろで「いや〜、やっぱ洋子さんって頼りになるお姉さんって感じで最高だな〜。それに黒髪ハーフロングが今日もまた一段とキューティクルでふつくしい」などと顔が緩みまくって浮かれていたが、前を行く洋子はタケルとは対照的に緊張な面持ちでいた。
(た、頼むわよ、櫻子〜!
********************
——タケルが
ここ新宿御苑にある『世界
そこには、折笠洋子、養成講座講師の東堂、そしてギルドマスターがおり、そこで折笠と東堂はギルドマスターの前で敬礼しながら報告を始める。
「明日⋯⋯いよいよ
「彼の者はレベル2になるまで2週間⋯⋯いえ正確には10日ですでにレベル2に達していました。間違いなく『規格外』に該当する者と思われます」
折笠が東堂が捲し立てるようにギルマスに報告する。
「⋯⋯『規格外』か。久しいのぅ、実に10年ぶりか。それはとても楽しみじゃ(ポリポリ)」
部屋の主であるギルマスが二人の報告を聞きながら『ひなあられ』をポリポリする。
「ワシもぜひ会ってみたいんじゃがのぅ〜⋯⋯」
チラッ、チラッ。
そう言って、折笠に目線を送る。
「いけません、
「なぜじゃ! ワシは
「だからこそ、よりダメです。実際こんな⋯⋯『身長149センチ、100歳超え、のじゃロリ』なんて、いくらファンタジー要素強めのダンジョンが許されても、櫻子様のその容姿はファンタジー要素強過ぎです。タケル君がドン引きして
「ひどいっ! 洋ちゃん、ひどいっ!!」
「カッカッカ。たしかに!」
「おい、東堂! お前はフォローくらいしろ!」
最初の厳粛な雰囲気は何だったのかというくらい、3人は仲の良い友人のようにじゃれあっている。そんな世界
「まーそれは冗談として、櫻子様は⋯⋯」
「洋ちゃんっ! ここでは『様』付けはやめろ!」
「ふぅ、相変わらずですね、櫻子は。日本支部のギルドマスターという身分なのに威厳も何もあったもんじゃない」
「しょうがないじゃろ! ワシだって本当はギルマスなんてやりとうないわい!」
「でも、ギルマスになることは櫻子にとって必要だったんでしょ?」
「うっ! そ、それは、そうじゃが⋯⋯」
「なら文句言わない!」
「ぶーぶー! 洋ちゃんのケチー!」
「折笠、そのくらいにしろよ。話進まねーだろ」
東堂が折笠の櫻子いじりにツッコミを入れ、話を戻す。
「でもな〜、F級
「東堂の言う通りよ。櫻子が直接会うのは時期尚早よ。だから、直接会うのはもうちょっと待って欲しい⋯⋯のだけれど」
「嫌じゃ〜! ワシも見に行く〜!」
駄々をこねる櫻子に2人は「は〜、やっぱこうなるよな〜」と案の定なリアクションにため息を漏らす。
「何か良い方法があるじゃろ! 考えろ、二人とも!」
「う〜ん、でもやっぱり難しいわ。だって、登録証の手続きは『
「そうそう。そんな日常業務に櫻子が出張るのはおかしいからな〜。まー、何か『大義名分』でもあればいいが⋯⋯」
「ほぅ?」
キラン!
ここで、櫻子の瞳に光が宿る。
そんな櫻子を見て、二人が「うわぁ〜」とすごく嫌な予感を察知。
「それじゃあ、『
「まー、『慰問』という形で直接タケル君本人とやり取りすることをしなければ⋯⋯」
「じゃろ? そうじゃろ!?」
「でも、ダメだぜ、櫻子。タケルに接触するのは? お前にその約束⋯⋯守れるのか?」
「何を言っておる、大丈夫じゃ! ワシは淑女ぞ? 大人の嗜みを極めし者ぞ?!」
「「ちょっと何言ってるかわかりませんね(わかんねぇな)」」
「だーー! とにかく! 直接結城タケルに接触しないと約束する! 見るだけじゃ! それならばいいじゃろ?」
「ま、まあ、それくらいならば⋯⋯」
「えー大丈夫か、洋子?」
「まぁ、『慰問で偶然会う』くらいなら別に問題はないかと思うけど⋯⋯」
「でも、櫻子だぞ? こいつがまともに約束守ると思うか?」
「何を言うか。ワシは淑女ぞ。そんな約束守って当然⋯⋯」
「はっはっは、無理無理。櫻子がそのセリフを言って約束守ったことなんてほとんどない⋯⋯」
「おい、東堂」
「っ!?」
ブオォンっ!!!!
そう言って、櫻子が一瞬で東堂の目の前に移動し、掌底を放つ。
「あ、あぶねぇ〜! てめぇ、櫻子何しやがるっ!!」
「お主が生意気なことを言うからじゃ! それに
そう、櫻子の周囲の空間が揺らぐほど魔力が籠った掌底を東堂もまた余裕でガードして防いでいた。
「いや、そういう問題かよ! 俺じゃなかったら今頃ガードした両手潰れてるぞ?!」
「じゃから、お主だからこそ放ったと言っとるじゃろ?」
「二人ともやめろ、ごるあぁぁぁぁ〜っ!!」
と、そこで折笠が鬼の形相で二人を叱責すると、そんな折笠の形相を見た二人は完全に萎縮。
「うっ⋯⋯ご、ごめんなさい」
折笠の『マジギレ』に二人がショボーンと謝る。
「もぅ〜⋯⋯まあいいわ。とりあえず、櫻子はちゃんと約束守れるわね?」
「も、もちのロンじゃ!」
「じゃあ、それを『折衷案』としてあげる。でも、くれぐれも直接の接触は避けてよ?」
「もちのロ〜ンなのじゃ〜!」
「は〜〜〜〜、本当に大丈夫かよ⋯⋯」
一人、不安になる東堂を尻目に櫻子が満面の笑顔を浮かべながら折笠の周囲を跳ね回っている。
こうして、タケルの預かり知らないところで3人が画策する中、F級
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