勘違い、こい。

雛奈.

第1話 息子よ東京へ行ってこい。

僕は木瀬きのせ高校へ通う 木古葉秋ここは あきどこにでもいる高校生…というわけでもない。

僕はたった今、いじめを受けている。

悪口陰口嫌がらせと言ったレベルのいじめではない。それは僕の中でイタズラのレベルだ…

殴る蹴る…とも違う気がする…。

性的暴力、ボールをぶつけられたり、バットで殴られたり、お金を要求されたりとそういういじめだ…。

ただ、もう慣れてしまった…

いじめは慣れてはいけない…そうテレビか何かで見たことはあるが慣れてしまったのは仕方がないと僕は思う…。

1年も同じいじめを受け続けてきたんだからな…

ちなみに今日のいじめは僕が的になってそこに野球ボールをぶつけるっていうゲームをやっている。このいじめが僕は1番嫌いなんだ…

なぜかって顔に当てられたらアザが残るからだ…

親に見つかってみろ、心配されてしまう…

それだけは絶対にダメだ…

絶対に心配させてしまうから…

そんな時いじめをしてるうちの1人が僕の後ろの方を指さした…

「お、おい…あんた誰だよ危ねーぞ…」

「あなたたちこそなにしてるの!」

「え…」

どこか聞き覚えのある…聞き覚えのありすぎる声が聞こえた…

「あんたには関係ないだろどっか行けよババア」

「関係ならあるわよ」

やっぱりそうだ…僕は恐る恐る後ろを振り返る…するとそこにはよく見る顔があった…

「母さん…」

僕がそういうといじめをしていた3人の顔が真っ青になる…

「お、おい…これはさすがにやばくねーか?」

「お、俺知らねーからな…」

「あんたらなにびびってんの?お母さん私たちは秋くんと遊んでたんです。だよね?秋くん」

はぁ…こいつらはほんとにとことんヤバいやつらだな…。まったく…

んで、肝心の母さんの反応だが…

「本当なの?秋…」

本当ではないが心配をかけないためだ、ここは嘘をついておこう

「あ、あぁそうなんだよ、今日も楽しいですね!いつもあ、ありがとうございます。」

僕がそう言うと3人は薄気味の悪い笑顔を浮かべた…

「いいんだよ秋くん、これからもよろしくな」

「これからも楽しもうなぁ、秋くん」

これからも楽しもうな…か。

これからも楽しませろの間違いだろ…。

「あらそうだったの、疑ってごめんなさいね、あなたたちお名前を聞いてもいいかしら?」

「俺は黒神頼斗くろかみ らいとって言うっす、そんでこいつは白神風斗しらかみ ふうと

「ちょ、あんたたち…はぁ…」

まぁ、どうせ先生に話されたところで私たちにはなにもできない…そう、先生たちはわたしたちになにもできない…だからいいか

「私は守門雷華もりかど らいか…」

「そう、黒神くんに白神くん…それから守門さんね 覚えたわありがとう。じゃあ、帰ろっか秋」

「あ…うん。」


家に帰ると母さんは、僕にすぐ座るように言う

言われた通り座ると母さんは泣きだした…

「ごめんね…秋、ごめんね…」

「何言ってるんだよ、僕はいじめられてなんか」

僕がそう言うと母さんは泣きながら笑って

「強がらなくていいのよ秋…大丈夫だから…そうだ秋、あなた転校しなさい 大丈夫、もう準備はしてあるからね」

転校?

「転校って急すぎない?僕いじめられてないよ」

いや、急とかそんなんじゃない…

「というか、そんなお金どこにあるんだよ…」

母さんは急に立ち上がると仏壇の下の扉を開ける、中から封筒のようなものを取り出し僕の前に置いた…。

「えっと、母さん…これは?」

「とりあえず開けてみなさい…。」

そう言われ封筒を開けてみると、中には通帳と印鑑が入っていた…。

「これ…」

「お父さんとお母さん…秋が大きくなった時の為に貯めておいたお金なの これを使いなさい」

父さんと母さんが僕の為に…って

「100万!?」

100万円って…どれだけ苦労して貯めたんだ…。

「さぁ、秋 これで新しい高校に行きなさい。」

「いや、ダメだよ母さん…僕は本当に大丈夫だから…そのお金は自分のために使ってよ」

慌てそういう僕に母さんは少し不気味な笑みを浮かべ僕の頬をつねる…

「子供が生意気言うんじゃないわよ、黙って受け取る!いいね?」

「痛い痛い、母さん痛いって…わかったわかったから。」

それを聞くと母さんはまた同じ場所から今度は大きめの封筒を取り出した。

「母さん、これは?」

「これは秋が次に行く高校よ、実はもう手続きはしてあるのよ」

急ぎ封筒をあけるとそこには津石つせき高校と書かれたパンフレットが入っていた…。

元女子校なのか…

やっていけるだろうか…まぁ、どこに行っても僕はきっと同じだから考えるだけ無駄か…

「ありがとう母さん、とりあえず頑張ってみるよ」


それから月日が経ち僕の出発の日

「母さん、いろいろとありがとう 向こうでも頑張るから。」

「うん、秋なら大丈夫よ…きっとね それじゃあ秋 行ってらっしゃい」

「うん、行ってきます」

母さんはどこか寂しそうで、泣いてるように見えたけど…きっとここで戻ればもっと悲しませることになる…だからこそ僕は笑顔で行くんだ…。

僕がこれから通う津石高校には寮が完備されていて 元女子校ということもあってか男子寮と女子寮には分けられておらずふつうのアパートみたいな感覚で使われているらしい…

それがここなんだが…

「おぉ、なかなか綺麗なところじゃないか…」

それでいて僕の部屋は角部屋だから1番端っこ…あぁ、落ち着くなぁ。

「とりあえず、荷物整理しますかぁ〜」

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勘違い、こい。 雛奈. @hinarita053

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