だから、それは何?3


「人の話聞いてた?」


「アンタは早坂さんが好き。早坂さんはアンタが好き。カップル成立。簡単な話じゃない」


「そんな事、一言も言ってないけど」


今度はうんざりしたようにテーブルに額をつけた。「あー、ホントめんどくさい。好きだからキスする。好きだからキスされても嫌じゃない。至って単純!ニホンゴワカリマスカー?」


「・・・わたし、早坂さんの事、好きなのかな」無意識に口から出ていた。


「どっからどう見てもね。アンタには難易度高いだろうけど、認めたほうが楽になるわよ」


「・・・なるほど」


「なによ、やけに素直ね」


この心のモヤモヤの意味を自分で理解した今、本当に楽になった。

そうか、わたしは早坂さんが好きなんだ。

いや、わかっていたけど、何処かに認めたくない自分がいたんだ。


「でもさ、早坂さんは、わからないんだよね」


「まあ、あたしはあの人の事よく知らないけど、遊び人のようには見えないけどね」


「遊び人・・・」早くも、モヤがかかる。


「あれだけの容姿よ?かなりモテてきたのは間違いないだろうし、その気になれば女なんか取っ替え引っ替えよ」


「取っ替え引っ替え・・・」


「でも、そこはアンタのほうがわかってるんじゃないの。どーゆう人か」


「・・・前にさ、他人には興味がないって言ってたんだよね」


「あー、それわかる気がするわ」


「そお?」


「うん、人当たりは良いけど、悪く言うと上辺だけっていうか、冷たさを持ち合わせてる感じはするわね」


「それ、わたしは感じないんだよね」


「はい、またノロケね」


「なんでだっ!意味がわからん!」


「アンタには違うって事でしょ。あたしから見ても、アンタに対する早坂さんの接し方は他とは違うわよ」


「・・・そうかな」


「うん。なんていうか、アンタが世界の中心って感じ?ちょっと怖さも覚えるくらい」


「前も言ったけどさ、過保護・・・なんだよね。異常に。それって、異性としてなのかなって」


春香はまた頬杖をつき、鼻からフーと息を吐いた。「こればっかりは、本人にしかわからないわねえ。聞いてみればいいじゃない」

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