優秀な偵察者10
「でも、よかった・・・」安心して、ベッドに座り込んだ。
「よかった?」
「心配してたんですよ。朝も来ないから、何かあったんじゃないかと思って」
「心配って、昨日会ってるじゃない」
「や、そうですけど、毎日朝早く来てたから・・・突然姿が見えなくなると心配になります」
空舞さんは起き上がり、テーブルへ移動した。「大袈裟ね。あなた、朝早く来るの嫌がってたじゃない」
「・・・そうなんですけど。心配は心配なんです。今まで何してたんですか?」
「何してたって、あなた達に言われた事をしていたのよ。妖怪を探せと言ったでしょ」
「そうじゃないかなとも思ってました・・・それで、どうだったんですか?」
「遊里が言っていた大蛇はさすがに見つけられなかったけど、他にはいたわ」
「・・・えっ!いったい、それは・・・」
「蛾よ」
「・・・蛾?蛾って、アレですよね・・・飛ぶ、虫の、蛾」
「それ以外何があるの?」
「・・・蛾の妖怪?ってことですか」
「ええ、そこまで大きくはなかったわ。全長で2メートル程かしら」
想像しただけで全身に鳥肌が立った。「空舞さん、それ、バカデカいんですけど・・・」
「何言ってるの、人間より小さいわよ」
「当たり前です!蛾は、こんなもんです!普通は!」親指と人差し指を使って訴える。「まあ、稀にモ◯ラ並のもいるけど・・・」
「あなた、虫嫌いなの?」
「ダメです。無理。とくに蛾は・・・それが2メートルもあるなんて・・・気絶しそう」
「2メートルと言っても、羽を広げればよ。胴体はそうでもないわ」
──ダメだ。話が通じない。
「ところで、それは何処で見たんですか?」
空舞さんは窓の方を見た。「ここから5キロ程離れた所にある、中学校よ」
「・・・中学校?」
「ええ、夜に体を発光させながら校庭の上空を飛んでいるのを見たわ」
「発光・・・?」ダメだ。想像したら眩暈がしてきた。「とりあえず、早坂さん達に連絡しますね」
夜も遅いので、とりあえずメールを送る事にする。予想通り、1分も経たないうちに着信があった。
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