【リメイク前】あーあ、隕石でも落ちてこないかな
【あらすじ】
な、何を言っているかわからねーと思うが、ありのまま、今起こったことを話すぜ!
終業式の後、楽しみにしていたゲームを買いに行った私は、背後から近づいてくる乗用車に気づかなかった。交通事故に遭い、目が覚めたら…夏休みが半分終わっていた。
「絶対死んだ」と思ったところを、奇跡的に骨折もなく軽傷で済んだのは幸いだったが、問題は山積みだ。というか宿題が山積みだ。
退院後いろいろあって、残された時間はあと7日間。私の惨状を見かねたクラスメイトB(数えるくらいしか話したことがない)は宿題を手伝ってくれるという。
そして私は、気が付くとクラスメイトB(数えるくらいしか話したことはない)の家にお泊りをすることになった…。
催眠術だとか超スピードとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…
何を言っているのか…わからねーと思うが…私も… 何をされたのか…わからなかった…頭がどうにかなりそうだった…
クラスメイトB(数えるくらいしか話したことはない)はいったい誰なんだ…
そして私の宿題は終わるのだろうか…
(ゲームブックのように分岐式になっております)
【登場人物】
A
宿題が終わっていない。
※母、通行人もA役が演じてください。
B
宿題は終わっている。Aを家に泊めて、宿題を手伝ってくれるという聖人。
【本編】 ※途中で分岐あり
A:あーあ、隕石でも落ちてこないかな。
B:なに、突然。
A:それか、突如銃を持った強盗とかが入ってきて、「手を挙げろ!」って
B:昨日見た、頭脳は大人の名探偵アニメ引きずってる?
A:私はトイレにいくフリして犯人に近づいて銃を奪うから、Bは麻酔銃かサッカーボールで相手オトしてね!
B:要求が高い!あんなトンデモメカもってないわ!それと普通に無理。
A:お泊り会終わっちゃう…やだー!
B:それどころか人生終わりそうだけど。
A:いっそ…アリ!?
B:ナシだわ。はいはい、アホ言ってないで手を動かす。原稿用紙まだまだ真っ白ですよー。
A:あ゛ーやだー!もう1文字もかけない!
B:皆、その苦しみを乗り越えて書いてんだよ。もうあんたに文章力は期待してないからさ、小学生並みの文章でもいいから、何か書きなよ。
A:主人公は苦労を乗り越えて幸せになった!すごいなと思った!完!
B:いや幼稚園児か。
A:だって何も書くことないもん。苦手なんだよー!
B:だから、読みやすい本を自分で選びなっていったでしょ。
A:図書館通信の「おすすめの本」1位だから、行けると思ったのに…。
B:今から別の本読み直す?
A:明日、休館日じゃん。
B:借りて帰れば?
A:読書感想文なんて書かなくても別に支障はないんだしさー、折角の夏休みなんだから、遊ぼうよー。イカの色塗りゲームやってみたい。
A、迷いない様子でBの部屋のテレビボードを開け、目的のゲームを取り出す。
B:こら勝手に開けるな…って、一発で目的の物を取り出すとは…たまに見せるその妙な勘の良さは何なの?
A:ふふん、Bの事はお見通しだよ!さ、ゲームだ!
B:はいはい。そもそもあんたが宿題しないから終わらせるためのお泊り会なんだけど。明日は午後から約束あるから、今日までしか付き合えないんだよ。
A:…。
B:はあ…あとは読書感想文だけなんだから、さっさと終わらせてゲームするよ。ちょっとは手伝ってあげるから。
A:ほんと!?
B:確か、アニメ化するっていう本だよね。あらすじは…
B:「野球が好きな父、少し天然な母、運動が得意な一色(ヒイロ)、そして体は弱いが優しくピアノを弾くのが好きな妹の二葉(フタバ)。平凡だが仲のいい4人家族。ーーその筈だった。ある朝目が覚めると二葉は消え、『彩羽(イロハ)』という活発な少女が『妹』だと言うが…? 誰もが二葉のことを知らないという中、一色は二葉を取り戻すことができるのか!?」
B:…漫画でもこんな感じの話はあるよね?何に躓いてるの?文章も読みやすいし、主人公の行動も「二葉を助ける」ってことで一貫性あるし、そんな難しい内容じゃないよね?
A:えー、だって彩羽ちゃんいい子じゃん。明るくて、一色のこと大好きでさ。二葉か彩羽かどちらかしか選べないって状況になってさあ…それでもまったくブレないって逆におかしくない?
A:人間の心搭載されてる??主人公ヤバイやつすぎない?
B:ネットの感想見たら「家族愛を感じて、そこがいい」らしいけど?
A:うー、全っ然共感できないよお…。
B:別にそれならそれでいいんじゃない?「どこがおかしいと思ったのか」も感想でしょ?
A:うーん…とりあえず…書くー…。
B:がんばれ。
A:はーい…。
A:書いた!
B:お疲れ。枚数もクリアしてるし、いいんじゃない?
A:ゲーム!ゲーム!
B:その前に晩ご飯買いに行こ。
二人はBの部屋を出て1階へ降りる。リビングを抜け、キッチンやトイレのドアの前を通り過ぎるが、シンと静まり返り、二人の足音以外の音はしない。Bの家をでる。
A:ねえ、家族って今、出張なんだっけ。
B:そう、うち共働きで。ちょうどお泊り会が始まる前日から、かな。お母さんは滅多に出張はないんだけど、なんか重なっちゃったんだよね。
A:よくお泊り許してくれたよね。
B:ほんと、不思議だよね。でもなんかAならいいかなって感じになって。あ、コンビニついたよ。何食べる?
A:…ハンバーグ。食べたいな。
B:また?前もファミレスで頼んでたし、本当に好きだよね。でも毎回「求めていたのはこれじゃない」とか言ってるけど、将来ハンバーグ評論家でも目指すの?
A:目指さないよ!? ってかそんなことあったんだ!?
B:あったし、言ってた。
A:…うーん。もう一回食べたい味があるんだよね。
B:好きなお店が閉店しちゃったとか?
A:…そうじゃないけど、そんな感じ。
B:ふーん。…今晩、一緒に作ってみる?ハンバーグ。
A:え?
B:そんなに食べたくて、でもお店がないなら、あとはもう作るしかないでしょ。
A:…。
B:どうする?スーパーも近くにあるから、材料も買えるよ。とはいっても今からレシピ探求する時間はないから、とりあえず今日はうちのレシピだけど。
A:うん…。ありがと。
B:なんか、急にしおらしくなったね。変なの。
夜。Bはベッドに、Aは来客用の敷布団に横になっている。
A:B、もう一泊していい?っていうかBの家の子になる。
B:どうしたの急に。
A:ハンバーグ、おいしかった。
B:気に入ってくれたようで何より。でも、うちのは普通の家庭レシピだよ?
A:むしろそれがいい。B、すごいね。料理上手。
B:好きなんだよね、料理作るの。特に餃子とかいいよ。餃子包みながらだと考え事が進む進む。
A:意味わかんない。いやー、同じ名前でも全然違うねー…。
B:そりゃそうでしょ。っていうか、いくら同じ名前でもBはないわー…普通こういう場合って、苗字で呼んだり、そこからあだ名とかつけるでしょ。
A:んー…、苗字は、なんか違うっていうか。
B:Bは違わんのかい。
A:Bは、Bだからね。
B:そ。あんたは変なこだわり強いよね。
A:ねー、B。私のこと呼んでみて。
■分岐1。
B:A。
(②へお進みください)
■分岐2
B:…ルリ。
(③へお進みください)
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