刀だ! 刀をくれぇ! それさえあれば斬れぬ物はない!

七月七日(なつきネコ)

序章 刀が先だ

 

 ま、まさか、腹を刺すとは……


 しかも、二度目ときた、情けない……

 刃物が刺された時の対処は怪我から抜かないことだ、しかし、剣士は違う。


 すぐに俺は腹部に刺さる日本刀を引き抜いた。


 案の定、ものすごい勢いで血が噴きあがる!


「ぐあっっっ! くっーーー」  


 ふつうは命の危機にするべきことは救急車を呼ぶ事、しかし、剣士はちがう。


 俺は引き抜いた日本刀の血を拭う…

 錆びてしまえば、この刀はダメになる。早く手入れをしないと……

 

 血に濡れる手で、袴をつかみ刀をぬぐいう。


 せっかくの、俺ごときの命でこの刀を潰すわけにはいかない。


 せっかく手に入れた大業物・榊󠄀竜麿、江戸末期に作られた一尺八寸の脇差し。

 新しく、この長さを見誤ってしまった。


 まったく、ドジなだな。

 こんな誰もいない時に……


 一度、失えば150年の歴史が閉じてしまう。

 そう、俺の20数年の命と刀の150年なら、どちらをとる。



 早く、あっ、意識が遠く……


 視線がブレる どこに目が霞む、あれ?


 ガシャン………


 遠くで落ちた音が聞こえる。



 

 来世があるなら、剣が振るえる世界に生まれたいものだ……

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