刀だ! 刀をくれぇ! それさえあれば斬れぬ物はない!
なつきネコ
序章 刀が先だ
ま、まさか、腹を刺すとは……
しかも、二度目ときた、情けない……
刃物が刺された時の対処は怪我から抜かないことだ、しかし、剣士は違う。
すぐに俺は腹部に刺さる日本刀を引き抜いた。
案の定、ものすごい勢いで血が噴きあがる!
「ぐあっっっ! くっーーー」
ふつうは命の危機にするべきことは救急車を呼ぶ事、しかし、剣士はちがう。
俺は引き抜いた日本刀の血を拭う…
錆びてしまえば、この刀はダメになる。早く手入れをしないと……
血に濡れる手で、袴をつかみ刀をぬぐいう。
せっかくの、俺ごときの命でこの刀を潰すわけにはいかない。
せっかく手に入れた大業物・宗竜麿、江戸末期に作られた一尺八寸の脇差し。
新しく、この長さを見誤ってしまった。
まったく、ドジなだな。
こんな誰もいない時に……
一度、失えば150年の歴史が閉じてしまう。
そう、俺の20数年の命と刀の150年なら、どちらをとる。
早く、あっ、意識が遠く……
視線がブレる どこに目が霞む、あれ?
ガシャン………
遠くで落ちた音が聞こえる。
来世があるなら、剣が振るえる世界に生まれたいものだ……
刀だ! 刀をくれぇ! それさえあれば斬れぬ物はない! なつきネコ @natukineko
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