第十話 最悪の出会い

「え?」


ハーマイド帝国ってあのルクセンハーゲンの帝国じゃないか!

そう言えばフェミエルも「もしかしたらルクセンハーゲンがくる」みたいなことを言っていたな…

ランパードが剣を相手の方に向けて構え、威嚇するような声で言った。


「俺は騎士のフランクレット・ランパードだ!何の目的でここにきた?」


その黒い影のやつが低い声で言ってきた。


「私はハーマイド帝国の幹部の一人、ウーデン・ルランク・ラルスだ。お前らレントロン王国の幹部からここにエノーマスクリスタルがここにあると聞いてきた」


声の低さ的に男だろう。俺はランパードに向かって言った。


「おいランパード、これどうすんだよ?ちゃっちゃと片付けて早く酒のもうぜ」


そんな呑気なことを言っている俺とは裏腹に、リエル、フェミエル、ランパードの三人はさっきより真っ青になっていて、ランパードは剣を持っている手が震えている。

そんな中、ランパードが俺の方を振り向いて言った。


「はやと、これは簡単には片付きそうにないな…」


それに続けてフェミエルも言う。


「これは一番来てほしくない人が来てしまったようね」


俺はきょとんとした様子で言う。


「ん?どういうことだ?こいつ、調査兵団なんだろ?そんな雑魚、さっさとやれるだろ?」


リエルが立ち上がり、こっちに向かいながら言ってきた。


「そう思ってたんだけど、違ったみたい」


リエルが一息ついて、俺に言う。


「あいつは、私たちの世界で唯一別の世界へテレポートできるほどの魔力を持っている最強の魔法使いよ!」


「え?ていうことはこいつがあのルクセンハーゲンってことか?」


フェミエルが杖を構えながら言う。


「違うわ。ルクセンハーゲンは魔力も私たちと比べ物にならないぐらいあるけど、主にルクセンハーゲンは剣を使って戦うわ。そしてこいつはハーマイド帝国の幹部の一人ながらも、ルクセンハーゲンを殺せるほどの魔力量を持っていて、私たちの世界では一番魔力量が多い魔法使い…それが彼よ」


「…それってこいつめちゃ強いってこと?」


そう俺が言うのに食い気味にリエルが言った。


「そうよ、だから…」


そう言うとフェミエルが魔法を唱えだし、リエルが俺に叫んだ。


「今ここで、私たちが本気でこいつを止めるのよ!」


そう言うとフェミエルが魔法をラルスに放ち、ランパードが切り掛かった。


「邪魔だ」


「うわッ!」


ラルスが波動のようなものを放つと、フェミエルの魔法はかき消され、ランパードは吹っ飛ばされた。

フェミエルがランパードに駆け寄って回復魔王をかける。


「大丈夫ランパード!死なないで!」


ラルスはそれを横目に見ながら、俺に指をさしながら言ってきた。


「そこのお前、名を名乗れ」


「はい鈴木はやとですさっきは雑魚と言ってしまい大変申し訳ございませんでした」


俺はできる限りの早口で言いながら土下座した。

そしたらラルスが言ってきた。


「頭を上げろはやと、お前みたいに物おじしないやつは嫌いじゃない。だからチャンスを与えてやろう」


そう言うと、瓶のようなものをこっちに投げて言った。


「そいつは私が魔力を注いだ魔力水だ。それで私と同じぐらいの魔力を得ることができる。それで召喚獣を一体出せ。私は平等な勝負が好きだ。お前はあまり魔力をコントロールができないだろ?だけど、召喚するだけなら魔力の高度なコントロールが必要とされない。それに、その魔力量があれば、思い浮かんだものはなんでも召喚できるだろう。そして3分間お前が出した召喚獣の攻撃を私が耐えることができなければ、私はもとの世界に帰るとしよう」


そんなことを言ってきた。

これにそんな莫大な魔力が宿っているのか。

俺はラルスに言った。


「で、お前が耐え切ったらどうなるんだ?」


「私が耐え切ったらエノーマスクリスタルをもらっていく。そして…」


そして、ラルスがフードのようなものを脱いで言った。


「お前を殺す」


そんな微塵も平等じゃない勝負を切り出してきた。

しかし、恐らくここでなんと言っても無駄だろう。

それに、召喚獣の強さはその人の魔力量によって決まると言うことをフェミエルから聞いたことがある。

ラルスと同じぐらいの魔力量を得ることができるなら、ラルスに匹敵するぐらいの強力な召喚獣を召喚できるだろう。

俺はラルスに指をさして、力強い声で言った。


「わかったヒイ◯・ユイ!その勝負、受けてたとう!」


ラルスは鼻で笑い、俺に言ってきた。


「何を言ってるかわからんが、いいだろう!お前の召喚獣、見せてみろ!」


こんなにそれっぽい戦いをするのは初めてだ。










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