第8話 俺の妹が、二人になった⁉

「お兄ちゃんって、どっちが好きなの? 断然、私の方だよね」

「違うよね、私の方だよね?」

「え、そ、それは……」


 高校一年生の浅倉秋あさくら/あきは放課後の今、二人の妹らから詰め寄られていた。


 どちらが好きなのか、問われているのだ。


 秋は恋人が欲しいと思っていたが、こんな形で女の子らから言い寄られる事は望んではいなかった。


「というか、最初から私のお兄ちゃんなんだから、私の方に決まってるよね?」

「最初とか後とか関係ないし」


 自宅の玄関先。帰宅した時から、学校指定の制服を身に纏った二人の妹らが口論している。


 どちらでもいいような気がするが、秋の口から適当な発言は出来ない現状だった。


 黒髪のショートヘアな妹――はれは、昔から一緒にいる血の繋がった双子の妹であり。

 もう一人の茶髪のロングヘアな妹――夏菜なつなは、両親の再婚で出来たクラスメイトの義妹である。


 趣味が合うと言えば、妹の方。

 血が繋がってなくて、正式に付き合えるのは義妹の方なのである。


「えっと……だとしたら、夏菜の方かな」


 秋は恐る恐る口にする。

 恋人にするなら、法律的にも彼女しかいないと思った。


「私の方は? ねえ、だとしたらってどういう事?」


 一度、自分の意見を口にしたものの、双子の妹から不満そうな顔付きで睨まれる事になったのだ。


 この問題は今後も長引きそうである。


 秋は解決されない悩みに、重いため息をつくのだった。

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