第32話 ウイルス

 「すまんが、話を聞かせてくれないか。なぜこうも皆の活気がないんだ?なにか事情があるのか?」男は、

「あ~。よそ者かい。あんたら。この国は困ったものだよ。王様が決めた税率が年々高くなっているんだ。稼いでも少しもラクにならない」

「それで活気がないのか」

「それだけじゃない。黒の国の魔物とここの王が通じあっているとのうわさだ。度々黒の国のマスターが城に入るのを見た者がいるんだ。しかも、黒の国の魔物はウイルスを持っていて、この国の者が次々と感染しているんだ」

「どういうウイルスの症状だ?」

「やる気がなくなる。それが一番多い。元気がなくなるんだ」

「こわい病気」ちいが怯えた。

「王子が行方不明なのもあって、王様は黒の国に探してもらおうと取引している・・ちょっと喋りすぎか・・不味いな」

「いや、ありがとう」コングは礼を言った。

「僕は・・僕は・・」キューが困惑している。

「うむ。そういう事か」コングは、

「飲んだら、宿屋に戻ろう。皆と相談だ」


 宿屋で皆は話し合っていた。

「すぐ王の所に戻るべきだわ」バーバラが言った。

「うむ。確かにキューが帰れば、王は黒の国に依頼する事もない」とジル。

「僕は・・明日城に帰ります」キューが言った。

「なんか、浮かない顔ね。キュー」ちいが心配した。

「記憶があまりないのだけど、何かすごく嫌な事があって城を飛び出したと思う」

「とにかく一度戻って、それから考えよう」サリーが言った。

 フルームがポツンとしていた。

「どうしたのよ。元気がないわね」バーバラが言った。

「う・・・ひどく気力がない。つかれた・・」

「まさか、あのウイルスというやつか」コングが言った。

「なあに?ウイルスって」魔女が聞いた。

「喫茶店で聞いたのだが、黒の国のやつらが出入りするから、やつらのウイルスがはびこっているらしい。元気がなくなるらしいぞ」

ジルが、

「それなら、早く対処した方が良い。ウイルスなら皆も伝染るぞ。

「もうひと部屋借りよう。フルームを移すんだ。悪いな。フルーム」

「あ・・・大丈夫・・・」


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