第25話 盗賊、仲間になる

 「きゃあ!」ちいが叫んだ。

さっきの倒れていた戦士が真っ青な顔で襲いかかってきた。コングが剣を構えた。一本の矢が戦士の頭に刺さった。呪われた戦士は倒れた。ジルが素早く矢を放ったのだ。

「呪われた毒で死霊の戦士になったんだ」ジルが言った。

「何か見える。3,4人こっちに来る」フルームが言った。小型の剣を持った、盗賊とうぞくのような男がこっちに来る。

「死霊の毒が塗ってある剣だ。皆も切られるなよ」ジルが言った。

呪われた盗賊達の顔はやはり真っ青だ。生きてはいない。ジルが矢を放った。頭を狙った。しかし、盗賊達はヘルメットのような物を頭につけていた。矢を弾き飛ばしてしまう。コングが剣を振り落とした。一人の盗賊の胸を切り裂いた。次に足を切った。盗賊は転がった。しかし、ほふく前進でまた近づいてくる。

「頭を狙うんだ。コング」ジルが叫んだ。コングは這いつくばっている盗賊をヘルメットごと剣で砕いた。ようやく盗賊は動かなくなった。残りの盗賊がちいを狙った。

「きゃあ!」ちいが怯んだ。キューはブタの姿だったが、風の魔法を使った。

「フゴ!」キューは風の魔法で、小さい竜巻を放った。盗賊はぐるぐると飛ばされた。しか、残りの盗賊がちいを切り裂こうとした。

「あぶない!」キューはちいの前に行った。

グサ!盗賊の呪われた毒の剣がキューに突き刺さった。

「うわぁ!」キューは倒れた。

「キュー!」ちいが叫んだ。

 フルームが石の矢を盗賊にぶつけた。盗賊の頭がペシャンコになり倒れた。もう一人の盗賊がまたちいを狙った。ちいは皆から少し離れてしまっていた。誰も助けられなかった。

「ちい!」皆は息を呑んだ。盗賊は剣を振り上げた。ちいは手で頭を抱えた。

グサ!ちいを狙った盗賊は、残りの一人の盗賊に頭を刺されて倒れた。皆は訳がわからなかった。盗賊が仲間をやっつけるなんて。その最後の盗賊はヘルメットをとった。なんと金髪の女性だった。

「私は盗賊じゃない。お願い。殺さないで」

「キューの手当が先だね」魔女が言った。

キューは死霊の毒が周り、顔色悪い。

「魔女さんの魔法でなんとかならないの?」ちいが言った。

「私は攻撃の魔法使いだから、解毒や回復はあまり得意じゃないんだよ」魔女が肩をおろして言った。

「ミンクーを出そう。私のカバンに入っている」魔女がカバンを開けると、一匹のミンクーが元気よく飛び出した。パタパタとピンク色のミンクーは飛んでいる。剣ミンクーのポルサがミンクー語で会話している。

 「まあ、ポルサが何かを話しているわ」

「回復はできるけど、解毒の魔法は使えないと言っている」ポルサが言った。

「解毒なら、大丈夫。私が持っている」先程の女盗賊が小瓶を取り出した。

「これを傷口に塗れば、ある程度は大丈夫よ。でも、完全じゃない。医者に見せないと」

ミンクーは回復系の魔法を使った。

「バリント」ポルサが言った。

 光に包み込まれ、キューは回復したようだ。金髪の女の小瓶をキューの傷口に塗った。少し休もうとジルが言った。皆は順番にミンクーの回復の魔法を浴びた。

「腹がへったな」コングが言った。

「干し肉とナッツがあるよ」ジルは荷物から取り出した。水筒に入れてある水を皆は飲んだ。

「なぜ、お前さんは盗賊に紛れていた?」コングが金髪の女に聞いた。

「私は仲間とピエール王国を目指しダンジョンに入ったの。でも地下一階で魔物に他の仲間がやられたわ。私は必死に盗賊のふりをして、生き延びていたのよ。食事もろくにとってないし、お風呂にもはいってないの。もう限界だった」

「俺達もピエール王国へ行く。一緒に行こう。ダンジョンの内部も詳しいのだろう?」

「まかせて。私だけしかしらないトラップもあるから、案内するわ」

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