第23話 ピグモ族

 「すみません。たいまつはありませんか?」

キューが主人に尋ねた。店の人はたいまつを用意してくれ、十分な量を買った。

二人は皆の所へ戻った。キューは荷物を置いていっていた。荷物を見ると、またゴールドクリスタルは2つなくなっていた。ジルもいなかった。

「ない!またゴールドクリスタルがない!」キューが大声を出した。

「まさか。またジルが・・」コングが言った。

 皆がクリスタルを探していると、ジルが帰ってきた。

「ジル!」皆が駆け寄った。

「キューのゴールドクリスタルがなくなって。てっきりまたジルが・・」ちいがいった。

「まさか。俺じゃない。そういえば、二人のピグモ族にすれ違ったけど、様子がおかしかったな」

「僕が行く!」キューが急いで二人に向かった。コングも向かった。

 二人のピグモ族が歩いていた。熊のような生き物だ。

「まて!」キューがピグモ族に追いついた。

「クリスタルを知らないか?」キューが聞いた。

「え!あ~。これかい?」クリスタルを見せた。

「やっぱり!盗んだな!」

「おいしそうだったから・・」ピグモ族は照れていった。

「おいしそう?食いもんじゃないぞ」コングが言った。

「返すよ。ほい」ピグモ族はクリスタルを返した。もう一人の背の低いピグモ族が言った。

「だから、やだったんだ。盗むのは。あんたのせいだからね」

「う~ん。僕は腹が減ったんだぁ」

「そこらへんの石ころでいいじゃない」背の低いピグモ族が言った。

「まあ何にしても、ゴールドクリスタルは取り戻したし、ピエール王国へ向かおう」コングがキューに言った。

「フゴ!そうだね。行こう!」

 「ピエール王国?ピエール王国へ行くのかい。あんたら」

「そうだが」コングが言った。

「だったら、あたいらも一緒に行きたい。あそこの石は美味しんだ。前に行ったことがあるんだよ。ねえ。連れてってよ。じゃまはしないからさ」

「しかし、魔物がいるらしいぞ。大丈夫か?」

「大丈夫。それにあたいらは暗闇に強い目を持っている。たいまつより役にたつよ」

「うむ。とりあえず、ジルにも意見を聞きたいし、仲間のところへ戻るぞ」

コングとキュー、そしてピグモ族の二人は仲間の宿の所へ戻った。そしてコングはジルにピグモ族の二人について相談した。ジルは、

「ピグモ族は夜行性で暗闇くらやみでも物が見える。特に攻撃性はない。武器は特殊で石を食べ、体の中で高温にして溶かし、細い石を吹き矢のように飛ばす。かなりのダメージをあたえる。ダンジョンの暗闇には役にたちそうだ」

「うむ。連れて行くか」コングが言った。

 ちいとキューは広場でピグモ族と遊んでいた。ちいは、

「名前はなんていうの?」

「ぼかぁ、フルーム」

「私はバーバラよ」

「石を食べるの?」キューが聞いた。

「うん。石、好き」フルームが言った。

「私達は石しか食べないわ」

「ピエール王国に行くのは、何でだい?」

「ピエール王国は昔、行ったことがある。ダンジョンが魔物だらけになってしまったから、行けなくなったけど」

「ほかに仲間はいないの?」キューが聞いた。

「となりの村に集落があって、他のピグモ族もいるけど・・ただ石を食べて、何もしないわ。私はそんなのイヤ。もっとお金を稼いで、良い暮らしがしたいの」

「フルームもそう思うの?」ちいが聞いた。

「う~ん。ぼかぁ、寒いのがやだなぁ。温かい所で暮らせれば、それで良いなぁ」

「この子はいつもこう。他の連中とちょっと同じね」

「二人は?友達?」キューが聞いた。

「私達は兄妹よ」

「そうなの。わたしはひとりっこだから、うらやましいわ」ちいが言った。

「こんなのがいてもねぇ」バーバラが不機嫌に言った。

その後、宿で支度を整え、ついにまたダンジョンへ向かうのだった。

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