第5話妹

僕は定時制高校を卒業すると、母親の在宅介護の経験を活かし、デイサービスで働く様になった。車の免許が必要なので給料を少しずつ貯めていた。

妹は中学生だが、新聞配達を始めた。

僕の給料は月に17万円だが、貯金と生活費にほとんど消えて、美味しいご飯を食べる事だけが楽しみだった。妹は、新聞配達の給料の半分を食費に充てた。

僕も給料3万円を食費にしていたので、自炊である程度、美味しいご飯が食べられた。

お母さんの在宅介護の費用は、かなりかかるので生活は楽では無い。

妹が言う。

「お兄ちゃん、私、高校行かない。働く」

「えっ?」

「お母さんの面倒みたいの。最近、お母さん、床ずれが出来てるからリハビリを兼ねてベッドから離れた時間を多くしたいの」

「……ヘルパー頼むから、お前はお兄ちゃんみたいに働きながら高校に行けば良いよ」

「それで、いいのかなぁ?」

「うん。早速、ヘルパーを見つけよう」

お母さんは、最近は痩せてきた。あまり、口も聞けない。

ただ、お母さんはニコニコしてご飯を食べていた。

お母さんの楽しみと言えば、再放送の時代劇とご飯だけだった。

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