カレーの魔王様☆カレー魔法が最強すぎて、転生先で伝説の魔王になっていた⁉
神霊刃シン
カレーの魔王様
序 章
第1話 いっちょ転生すっか?(1)
「オッス、オラ神様! いっちょ転生すっか?」
「いや、お前っ――絶対ワクワクする方の奴だろ!」
俺は思わず、手のスナップを
戦いの後半になると「元気を分けてくれ」とか言い出すに決まっている。
(俺は詳しいんだ……)
そんな俺の反応に対して、
「おめぇ、面白れぇヤツだな」
と自称『神様』。どちらかと言えば――
(戦闘民族のような気もするが……)
しかし、このままでは重力の強い場所で修行させられる可能性がある。
俺は
大きく息を吸って深呼吸をする――のだが、息が出来ない。
その代わり、苦しくもなかった。
続いて、胸の上に手を置いてみたのだが、心臓の
どうやら、俺は死んでしまったようだ。
(段々と思い出してきた……)
デス動画配信によって、殺されたのだ。
そして、目の前にいる相手の言葉を信じるのなら――
(これが異世界転生というヤツか……)
全然、ワクワクしない。だが――今、俺の目の間に
恐らく、本物の神様なのだろう。ただ、下手な事を言うと修行をつけられてしまいそうなので、言動には気を付けた方が良さそうだ。
(まずは状況を
今、俺がいるのは壁のない白い空間である。床はあるのだが、天井は見えない。
いや、
神様は腰を下ろすと「いいから、早く隣に座れよ」とでも言うように、床をパンパンと
すると、真っ白だった床が青いカーペットへと変化した。
そこで
(ああ、ここは生前の俺の部屋か……)
恐らく、俺の記憶から引っ張り出してきているのだろう。
謎の神様パワーというヤツだ。
広く感じられた空間は、いつの間にか四畳半の
同時に、神様の手には
これではまるで「テレビゲームを始めっぞ!」といった雰囲気である。
(いや、実際……)
その通りなのだろう。
のんびりと遊ぶワケではないようだ。
どうやら、ゲーム画面で『
異世界転生とやらは、こんなノリなのだろうか?
カネなら払うので――
(せめて、アバターはイラストレーターに依頼させてくれ……)
視聴者層を想定して、
投げ銭は二十代が多いようなので、その層を狙うのがいいだろうか?
いや、違った。俺は首を左右に振ると、神様とやらの横に座る。
同接ランキングを不正に操作され、デス配信者に殺されたばかりだ。
俺が殺されるさまは録画されていたに違いない。
次の転生先があるのなら「ネットのない世界」にした方がいいかもしれない。
「どの世界がいっかなぁ?」
と神様。家庭用ゲーム機を
(通常は問答無用で転生だろうしな……)
しかし、ゲーム機で転生先を選ぶ気分ではない。生きていたのなら「この状況をネットで配信しよう」と考えたのかもしれないが、もう
ゲームなら隙間時間で話題作りのためにやる無料の『ソーシャルゲーム』か、プレイ時間ゼロの『ゲーム実況』で十分だ――と答えるくらいには
転生などしても苦労するだけなので、丁重にお断りしたい所なのだが――
(こういう場合、転生する以外に選択肢はないんだろうな……)
どうせ、もう戻る肉体はないのだろう。
まあ、俺が死んだら保険金が
病気で入院している妹の手術費は用意できただろう。
今のご時世、弱男が生きるにはハードモードである。
通常、セーフティネットは「雇用」「公的保険」「公的扶助」の3層モデルで考えられているモノだと思うのだが、政府が増税を行うためのシステムであり、最後は生活保護しかない気がする。
そして、そんな生活保護を受ける事が出来ない者を狙ったのが、デス動画配信だ。
本来ならデス動画配信に参加していたのは俺の友人だったのだが、そんな彼が「ハメられた!」と言って泣きついてきた。
カネが必要だった俺はその状況を利用し、代理人として「デス動画配信に参加した」というワケだ。結局、殺されてしまったが――
(少なくとも2人の人間は助けられたので良しとしよう……)
そんな俺の心を読んだのだろうか?
「やっぱ、LP(生命力)とかがある世界がいいのか?」
神様に質問される。LPが0にならない限り、生き返る事が出来るのだろう。
「閃き」や「見切り」「連携」が重要な世界のようだ。
「〈パリイ〉のスキルさえ覚えれば、でぇじょうぶだ」
と神様は言うが、いまいち信用できない。
それに、そんなスキルを持っていたら前衛に立たされるのは確定だろう。
当然、魔法や精神攻撃まで〈パリイ〉できるワケではない。
敵の物理攻撃を受け流すだけである。
そもそも、そんなに万能なスキルだっただろうか?
確か、その世界って――
(アリがいっぱい出て来る気が……)
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